出張・経費管理トレンド
出張申請をAIでスマートに:リクエストアシスタントによる効率化
2024 年 SAP Concur グローバル出張調査によると、出張者の 84% が、会社が出張前の承認を求めていると回答しています。この傾向により、67% が今年、出張前の承認への重点が高まっていると回答しています。
適切な対策を講じなければ、出張前の承認は、承認を求める社員と承認する社員の両方にとって大きな負担となります。出張する社員はまず、自分の出張の好み、会社の方針、予算に基づいて、予定の旅程を調査して作成する必要があります。次に、承認者は時間を見つけて方針と予算の観点から旅程を確認し、社員に予約のゴーサインを出すか、変更を依頼する必要があります。旅程が承認された 場合、社員は選択したオプションを再度検索し (計画済みの出張の 価格が大幅に変更されていないことを確認しながら)、それに応じて予約を進めます。
SAP Concurで進化する出張
Concur Requestによって出張の事前申請に関する承認プロセスの効率化は可能になりましたが、申請・承認のための旅程作成は依然として課題でした。出張者の好みや会社のポリシーを考慮しながら、出張が予算内に収まるかどうかを判断する作業は、手作業で行われていました。しかし、最近の生成 AI の飛躍的な進歩により、プロセスの自動化やデータに基づくコスト見積りを SAP Concur ソリューションに追加することが可能になりました。
Request Assistant (リクエストアシスタント)は、2024 年 3 月に Concur Request の機能として追加されました。生成 AI を使用して、出張のコスト見積もりを提供するため、社員の時間と労力が節約されます。出張期間、目的地、サービスなどの詳細に加え、フライト クラス、乗り継ぎ回数、ホテルの評価などのユーザーの好みも考慮することができます。また、他の SAP Concur ソリューションとも連携されています。
Concur Travel と統合すると、Request Assistant で収集された詳細が予約に反映され、出張者の時間を節約できます。時間削減は多くの出張者が求めているものであり、当社の調査では、出張者の 35% が AI を活用した自動化を利用して出張の計画や予約を支援することを検討し、35% が組織の出張ポリシーに準拠するために AI を活用した自動化を利用することを検討しています。
さらに、調査によると、出張者の 37% が経費の取得と報告をサポートするために AI を利用した自動化の使用を検討しています。Concur Expense との統合により、予想コストに基づいて経費レポートが作成できるようになります。最終的な合計額が当初の見積もりと一致する場合、企業は Concur Expense を自動承認するように設定することもできます。これにより、社員のマネージャーと会計チームの時間が節約され、迅速な払い戻しを確実に行うことができます。
豊富な SAP Concur データと大規模言語モデル (LLM) を組み合わせることで、Request Assistant のコア フレームワークが実現しました。現在のソリューションは、Request Assistant をさらに進化させる多くのイテレーションの中でも最初のものであり、お客様からのフィードバックに基づいて段階的に取り組んでいます。今後の機能には、ユーザーにパーソナライズされた推奨の強化、交通手段の推奨と旅行計画、業界ベンチマークと追加の履歴データに基づくコスト見積もりの強化などが含まれるでしょう。
生成AIの課題
生成 AI のニュースを追っている人ならご存知のとおり、LLM は進化し続けており、ある程度の柔軟性を持ってアプローチする必要があります。Request Assistant の構築に伴う最大の課題の一つは、生成 AI テクノロジーの予測不可能性でした。そのため、LLM 側のアップグレードごとに、最新のイノベーションのメリットを享受しながらも、後方互換性を確保できるように調整する必要がありました。
もう 一つの課題は、LLM が主に数値計算用に設計されていないという事実から生じています。出張費の見積りには数学的な複雑さが伴うことを考慮して、私たちのチームは、LLM が出張の予想経費をより効率的に計算されるように戦略的なプロンプトを考案しました。
これらの課題は、テスト、トレーニング、微調整を通じて主に解決してきましたが、Request Assistant やその他の SAP Concur ソリューションに関する時間と経験は依然として重要です。ユーザー エクスペリエンスはデータに基づいてカスタマイズされ続け、テクノロジーとその予測機能が強化され続けます。そして、ユーザーと顧客のデータは安全に分離されており、LLM とは共有されないこともポイントです。
さいごに
出張に行く際、使用するツールに関係なく、出張にかかる費用や手段を調べるのに 1 時間費やすのは当然のことでした。SAP Concur データと生成 AI テクノロジーを基盤として構築された Request Assistant を使用すると、その時間をわずか 5 分に短縮できるため、予約と承認のプロセスが最初から最後まではるかに簡単になります。
本稿はSAP Concurの SVP, Head of SAP Concur Market StrategyであるChristopher Juneau によって公開されたブログを抄訳したものです。
