経理・総務の豆知識
業務効率化を効果的に進めるには?効率化までの3ステップや成功事例などを詳しく解説
質問 :
業務効率化とは何でしょうか?
回答:
業務効率化とは、企業活動におけるさまざまな業務プロセスを見直し、最小限の経営資源(人・モノ・金・情報)で最大の成果を生み出せる仕組みを構築することです。
単なる作業時間の短縮だけでなく、業務品質の向上や従業員の働きがいの創出などを含む、経営における重要な取り組みといえます。近年では、技術の進歩によりAIやRPAなどのデジタルテクノロジーを活用した効率化も注目を集めています。
業務効率化の現状と重要性
少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少が企業経営における喫緊の課題となっています。特に中小企業では、人材確保の困難さが年々深刻化し、現場の負担増加が顕著です。一方で、グローバル競争の激化やデジタル化の波により、企業には更なる生産性向上が求められています。この相反する状況を打開するため、多くの企業が業務効率化に活路を見出しています。ICT活用やDX推進といったデジタル技術の活用、また業務プロセスの抜本的な見直しにより、限られた人材でも高い生産性を実現できます。今や業務効率化は、企業の持続的成長と競争力強化に不可欠な経営戦略といえるでしょう。
業務効率化を進めるメリット
業務効率化は企業経営に多くのメリットをもたらします。
生産性向上につながる
業務効率化を進めることで、さまざまな側面から生産性を高めることができます。最も分かりやすい例が作業時間の大幅な短縮です。例えば、請求書処理を自動化することで、これまで3時間を要していた作業がわずか30分で完了できるようになり、残りの時間を他の重要な業務に充てられるようになるでしょう。
さらに、業務プロセスを標準化することで、作業品質のばらつきが抑えられ、安定した成果を生み出せるようになります。
このように業務効率化に取り組むことで、無駄な確認作業や重複作業が削減され、最低限の労力で安定した品質の成果を出すことができます。結果、組織全体の生産性向上にもつながっているのです。
コスト削減につながる
業務効率化を進めることで、さまざまなコストを削減できます。最も大きな効果が現れるのが人件費です。業務にかかる時間が短縮されることで、残業時間を大幅に減らすことができます。
また、ペーパーレス化によって消耗品費を抑えられるだけでなく、書類の保管スペース代や郵送費なども削減できます。さらに、システム化によってヒューマンエラーが減少するため、修正作業に伴う余分なコストも抑制できます。
確かに、業務効率化に向けたシステム導入には初期投資が必要です。しかし、長期的に見れば、これらの投資は必ず回収できます。実際、多くの企業が業務効率化によって大幅なコスト削減を実現しているのです。
業務効率化を進める3ステップ
業務効率化を成功に導くためには、体系的なアプローチが不可欠です。効率化は一度きりの取り組みではなく、継続的な改善サイクルとして捉える必要があります。まずは現状分析から始め、具体的な施策の実施、そして効果測定と改善というステップを確実に実行することで、持続的な効果が期待できます。特に重要なのは、各ステップで関係者の合意形成を図り、組織全体で取り組む体制を構築することです。
現状を把握する
現状把握では、既存業務の棚卸しと課題の可視化を行います。具体的には、業務プロセスのフローチャート作成、作業時間の計測、コストの算出などを実施します。この際、現場の声を丁寧に拾い上げることが重要です。「なぜその作業が必要か」「どこに時間がかかっているか」といった観点から、詳細な分析を行います。可視化されたデータをもとに、優先的に取り組むべき課題を特定し、具体的な改善目標、施策のスケジュールなどを設定します。
施策を実施する
業務効率化を成功に導くには、短期的な成果を狙うスモールスタートでの取り組みと、中長期的な構造改革をバランスよく組み合わせることが重要です。まずは既存の業務ルールを見直したり、簡易的なツールを導入したりすることで、早期に効果を実感できます。
その一方で、基幹システムの刷新やビジネスプロセスの抜本的な改革といった大規模な取り組みは、慎重な計画立案と段階的な実施が欠かせません。どの施策を実行する場合でも、組織全体への影響を十分に見極め、必要に応じて試行期間を設けることで、スムーズな導入を実現できます。
施策の具体例
業務効率化のための施策立案時には、主に以下の3つを考慮してみましょう。
業務プロセスの改善では、まず現状の業務フローを詳細に分析し、マニュアルやガイドラインの作成を通じて、標準的な作業手順を明確化します。これにより、担当者による作業のばらつきを抑制し、品質の均一化を図ることができます。
また、業務の流れを可視化することで、重複作業や非効率な作業などの無駄な作業を特定し、それらを排除しましょう。さらに、デジタルツールの導入やタスクの自動化などに取り組むことで、よりプロセスの最適化に期待できます。
- 従業員のスキルアップ・教育
従業員の能力向上は業務効率化の要となります。ExcelやWordなどの基本的なPCスキル研修に加え、業務分析手法やプロジェクトマネジメントのワークショップを定期的に実施します。また部門間でのジョブローテーションを導入し、多様な業務経験を通じて改善提案能力を向上。先輩社員によるメンター制度でOJTを通じた実践的なスキル習得も支援します。
- ツールやサービスの活用
デジタルツールやサービスの活用は業務効率化に欠かせません。例えばクラウド型グループウェアの導入で情報共有とコミュニケーションを円滑化し、会議時間の削減と意思決定のスピードアップを実現できます。
また、RPAによるデータ入力や定型作業の自動化で作業時間を短縮し、AIを活用した文書管理システムで過去の資料やナレッジの検索・活用が容易になります。
このように業務効率化につながる施策は多くあるため、自社に適した施策を積極的に立案していきましょう。
効果測定を行い改善につなげる
効果測定では、定量的・定性的な両面から評価を行います。作業時間の削減率、エラー発生率の変化、コスト削減額といった数値指標に加え、従業員満足度や顧客からのフィードバックなども重要な評価基準となります。測定結果は、関係者で共有し、予想と異なる結果が出た場合は、その原因を分析します。得られた知見は、次の改善サイクルに活かし、継続的な効率化を推進します。
業務効率化の手段
業務効率化を実現するための手段は、企業の規模や業態に応じて多岐にわたります。特に注目を集めているのが、アウトソーシングの活用とデジタル化です。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングは、自社の中核業務に経営資源を集中させるための有効な手段です。特に、給与計算や経費精算などのバックオフィス業務、カスタマーサポート、データ入力といった定型業務は、専門業者への委託が一般的です。近年では、クラウドソーシングやBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)など、選択肢が広がっています。委託先の選定では、コストだけでなく、品質管理体制やセキュリティ対策も重要な判断基準となります。
デジタル化を進める
近年、業務効率化の有効な手段としてデジタル化の活用が注目を集めています。特に、バックオフィス業務のデジタル化は即効性の高い施策といえます。例えば、多くの企業で負担となっている経費精算業務では、専用システムの導入により、領収書のスキャンから承認プロセス、会計処理まで一連の作業を自動化できます。これにより、従来は書類の収集や手作業での入力に費やしていた時間を大幅に削減し、担当者の業務負担を軽減できます。さらに、データのデジタル化により、無駄な経費の発見や不正防止にも役立ちます。デジタル化は、単なる省力化だけでなく、業務品質の向上にも貢献する重要な施策なのです。
業務効率化の成功事例
デジタル化を進めることで業務効率化に成功した事例を紹介します。
株式会社マイスターエンジニアリング様の事例
株式会社マイスターエンジニアリングでは、毎年100名を超える新卒採用に伴う事務処理の増加に対応するため、従来の紙や表計算ベースの経費精算システムの刷新が課題となっていました。
SAP Concurの導入により、ペーパーレス化と承認作業の自動化を実現でき、その結果、社員1名あたりの経理処理時間を34%削減し、請求処理時間は半減を達成しました。さらに、管理職の捺印業務をほぼゼロにし、小口現金の利用も半減させました。
ほかにも経費精算データの可視化によって、チェック作業も効率化されたため、今後は経費処理のチェックレス化も視野に入れています。
詳しい事例はこちらからご覧ください。
I-PEX株式会社様の事例
12カ国39拠点で事業展開するI-PEX株式会社は、紙ベースの経費精算業務とデータの手入力による非効率さが課題となっていました。業務合理化の一環として、グローバル展開への対応と電子帳簿保存法への準拠を見据え、SAP Concurを導入しています。
まずは国内グループ4社から稼働し、その後海外グループ5社への展開で約2,400万円の業務効率化効果を見込んでいます。
経費精算の電子化による工数削減だけでなく、分析機能を活用した業務プロセスの高度化も期待されています。
詳しい事例はこちらからご覧ください。
ツールを活用した業務効率化で企業の競争力を強化する
人手不足や働き方改革への対応、そしてコロナ禍を 経て浸透した新しい働き方の実現など、企業を取り巻く環境変化により、業務効率化の重要性は益々高まっています。効率化を成功に導くためには、現状把握から施策実施、効果測定までの改善サイクルを確実に回していくことが不可欠です。特に、クラウドサービスや先進的な技術を活用したデジタル化の促進は、この改善サイクルを加速させる強力な味方となります。
コンカーの経費精算システム「Concur Expence」を導入することで、いつどこにいても経費精算業務を行うことが可能となり、経理業務の業務効率化やDXに貢献します。
ご興味ある方は、是非一度この機会にご相談ください。