無駄な時間を省く!会社経営者は「コミュニケーションコスト」を知ることで差が出る
コミュニケーションにも「コスト」がかかっています。会社経営にはさまざまなコストがかかりますが、実は「コミュニケーションコスト」への意識が希薄な経営者は少ないようです。たとえば、「社員への指示出し」など、コミュニケーションがしっかり取れていないと無駄な時間がかかり、その時間はコストにつながります。今回は、そんなコミュニケーションコストの概要、およびコストを下げるポイントを解説します。
コミュニケーションコストとは?
コミュニケーションコストとは、組織内のコミュニケーションに関して発生するコストのことです。例えば、営業部署の部長と新入社員では、それぞれの知識や考え方、役割などが異なってきます。そのため、売り上げ目標に対するコミット力や、営業部署がかかげる目標の捉え方に差が出てきてしまうのです。
仮に、「顧客満足度の向上」が営業部のミッションだったとします。この背景として、競合他社が増えてきて商品の質や売り込みだけでは差別化できないため、営業マンが顧客に対して「いかに満足度の高い営業ができたか」が差別化ポイントになるとします。
今までの会社の方針や競合他社の情報を知っている部長は、「顧客満足度を上げる」というミッションの重要性が分かると思います。一方、業界の知識も営業経験も浅い新入社員は、「顧客満足度を上げる」というミッションをあまり分からずに仕事をしているかもしれません。
とは言え、本当の意味を理解しないまま仕事をされると、営業部のミッションは達成できず会社にとってマイナスです。そのため、顧客満足度を上げるという本当の意味を伝えるためには、綿密なコミュニケーションが必要で、それには膨大な時間やリソースがかかってきます。その時間やリソースの消費がコストになるというわけです。
時間の無駄が経営コストに大打撃
コミュニケーションをするだけなら「タダ」と思っている人が多いですが、実は、組織内のコミュニケーションには目に見えないコストがかかっています。なぜなら、トップの意見を末端社員まで落とし込むには、次のようなことが必要だからです。
- 社員全員へスピーチする
- 半期に一回のペースで全社ミーティングを開催する
- グレードに分かれて研修を行う
- 現場の声を吸い上げるための面談を行う
上記は一例であり、コミュニケーションをとる手段はたくさんあります。しかし、いずれの場合も「時間」は必ずかかってしまい、その時間が長いほどコストがかかるということです。
コミュニケーションコストを下げるポイント
つづいて、コミュニケーションコストを下げるポイントを解説します。コミュニケーションコストは、ちょっとしたことで削減につながるので、ぜひ実践してみてください。具体的にコミュニケーションコストを削減する方法は、次の3つです。
- 情報量
- 理解力
- 価値観
情報量
会社のトップと社員には情報格差があります。上述した営業部長と新入社員のように、触れている情報が異なるのでコミュニケーションミスが生じ、それを埋めるためにコストがかかってくるのです。その差をなくすために、次のような情報共有の場が必要になってきます。
- ブログやメールなどで定期的な発信をする
- 交流の機会を増やす
- 少数のグループを管理する
例えば、トップ自らが発信したり、定期的にランチミーティングをして交流の場を増やしたりするという対策があります。いずれのケースも、上司と部下がコミュニケーションをとる過程で、目上の人が丁寧に情報を落とし込むことが重要になります。
理解力
ただ、同じ情報を得ても、その情報から理解できる質はそれぞれ人によって異なります。例えば、会社の実績を数字で細かく羅列しても、トップと末端の社員では感じることは違うでしょう。そのため、情報を与えるだけでなく、解釈や理解を深める説明などを用いて分かりやすく伝えることが大切になります。
具体的にいうと、売り上げの推移からみる現在の状況を伝えたり、過去同じような状況のときに、どのような対策を講じたかを解説したりすることです。トップが感じたことを、下の社員に分かりやすく説明することが大切です。
価値観
価値観は、例えば「顧客にどのような価値を与えたいか」という点です。同じ情報量と質でも、価値観が異なれば行動が異なります。価値観とは、企業やその部署の「理念」に近い考えであり、その会社が社会に与える影響にもつながります。
会社全体で、会社の羅針盤である「理念」の部分をそろえないと、せっかく上記2つでコミュニケーションを図っても無駄に終わってしまうのです。そのため、情報共有はもちろん、理念研修などを行い、地道に理念を伝え価値観を一致させることが大切になります。
まとめ
意識しながらコミュニケーションをとることを心がけないと、会社間でコミュニケーションミスが生じやすくなります。コミュニケーションミスが生じると、結局それを埋めるためさらに費用がかかってしまいます。
費用をかけることで解決すればまだ良いですが、最悪の場合には費用をかけたにも関わらず、会社の業績にマイナスの意味で響くこともあります。そのような状態にならないために、上記3つを意識したコミュニケーションを心がけ、結果的にコミュニケーションコストを抑える努力をすることが大切です。