その接待交際費ムダになってない?活きた使い方で利益増を狙おう!
中小企業にとっては接待交際費が全額経費となる追い風の時代。使い方を工夫することで利益増を狙えます。この記事では、接待を合理的に進めるための活きた接待交際費の使い方を紹介していきます。あわせて、接待交際費の効果を測る方法も知っておきましょう。
接待交際費の傾向と対策
今後も長く付き合っていきたいという相手に対して行う接待。しかし、その効果のほどが今ひとつわからない、という方も多いのではないでしょうか。
まずは法人企業における接待交際費の支出額に注目し、その使い方の傾向を業種別に見ていきましょう。
接待交際費の支出額が多い業種とは
平成28年度分の国税庁会社標本調査における「業種別の交際費等支出額」によると、建設業、不動産業、サービス業などで支出額が多く、鉱業、金融保険業、卸売業などで支出額が少ないことがわかります。この結果から、どのような業態の会社でどのように接待交際費が使われているか、または効果的なのかが考察していきます。
(支出額は「会社標本調査P.21」営業収入金額10万円あたりの交際費等支出額を参照)
接待交際費のメリットが高い業種
取り扱い商品が高額で、営業の時点では商品が無形あるいは情報に価値がある場合は、信頼関係の深さが重要になるため接待交際費のメリットが高いといえるでしょう。
また、一般消費者がエンドユーザーであり取り扱い商品が高額でない場合は、自社商品を贈答品に使い、それを接待交際費として計上します。得意先に自社商品をアピールできるというメリットがあります。得意先の担当者も個人レベルでは一般消費者であるため、販路拡大を狙えます。
接待交際費のメリットが少ない業種
取り扱い商品が高額で、営業の時点で商品が有形あるいは販路が安定していると思われる業種は、接待交際費のメリットが少ないといえるでしょう。この場合は、商品自体の価値が取引を左右していると考えられます。
以上を踏まえると、取引に至るポイントが担当者同士の信頼関係の深さなのか商品力の高さなのかで、接待の仕方が変わってくることが推測できます。
逆の発想!外注先を接待しよう
これまで接待交際費を使う相手は、自社の商品を買ってくれる得意先顧客が主流でした。しかし、インターネットの普及により、その構図に変化が訪れています。“接待するなら外注先や仕入先”という逆の発想で成功を収めている企業が出てきているようです。以下で詳しく解説していきます。
B to BからB to Cへ
自社メディアを立ち上げるなど、Web媒体を上手に取り入れることで企業の発信力と発信先が多様化しています。これにより、B to B商品だったものをB to C商品として売り出し成功するケースが出てきました。
その結果、顧客は一般消費者となり、これまで接待の対象者であった得意先に接待をする必要がなくなってきたと推測できます。
品質の確保が競争力のカギ
一般消費者が顧客となった場合、企業の競争力の焦点は、いかにしてオリジナリティを出すか、いかに新しい価値観を創造するかという品質の向上に向けられます。その際に大切となってくるのが、商品づくりに欠かせない外注先や仕入れ先です。
彼らをパートナーと位置づけ、より強固な関係を築くことが企業の競争力を上げるカギとなってくるでしょう。
年800万円まで全額経費にできる
ここで改めて、接待交際費の取り扱いについて説明します。2017年に発表があった通り、接待交際費を経費(損金)として認める「交際費課税の特例措置」の適用期限が2020年3月末まで延長されました。延長の目的は、企業の収益機会の向上やその際の飲食店利用による消費拡大による経済活性化です。詳細は次の通りです。
- 中小企業(資本金1億円以下)は、接待交際費全額を800万円まで損金算入できる、あるいは接待交際費のうち飲食費のみ50%まで損金算入できる。
- 大手企業(資本金1億円超)は、接待交際費のうち、飲食費のみ50%まで損金算入できる。
中小企業おいては接待交際費が年間800万円まで全額経費にできるため、営業戦略の上で接待が有効な手段のひとつになるでしょう。
接待交際費の効果を測る方法
接待交際費をより有効に使うためには、その効果を知る必要があります。財務状況をプラスにするための経費額は会社によって異なりますが、前述の通り、中小企業においては接待交際費が全額経費となるこの期間に接待交際額を増やし、その効果を測ってみるのもひとつの方法です。
接待交際費の効果は、単純に得意先への接待交際費の支出額を増やしていったとき、その得意先がどれだけ購入を増やしてくのか、それによって得られる粗利益を観察することで測ることができます。その結果、「粗利率が増加した」「粗利率に変化なし」「粗利率が減少した」で、それぞれの接待交際費の必要性と適正額がわかるのです。
粗利率が増加した場合
粗利率が増加した場合は、接待交際費を使うことにより担当者との信頼関係が深まり、より良い取引ができたと推測できます。その後は、接待交際費を有効的に使って取引を拡大していきましょう。
粗利率に変化がない場合
粗利率に変化なしの場合、接待交際費が取引に有効ではなかったかというと、そうとはいい切れません。粗利率に変化がないため接待交際費の額を元に戻してもよいのですが、全額経費となる今は、増やした状態を維持するのが得策ではないかと前向きに考えます。
粗利率が減少した場合
粗利率が減少した場合は、取引の裁量が担当者レベルではなく会社としての意向であったことが推測できます。商品の価値や納品スピードを強化し、異なる面で勝負していくのがベストです。
粗利益で測るほかにも、接待交際費をシステム管理し、そこに会社としての判断基準を打ち出すという方法もあります。システムになれば多くの人が可視化できるため、社員一人ひとりの意識向上につながり、行動にも影響を与えることができるでしょう。
まとめ
接待は営業戦略のひとつです。接待をする際には、会社の売りが何か、誰を大切にしていきたいのかを見極め、ムダなコストにならないように行うことが重要です。接待がメリットになる企業においては、接待交際費が全額経費として扱える今を活かし、攻めの姿勢で取り組んでみるのもひとつの方法です。会社の財務状況を加味しながら適切に運用していきましょう。
参考: