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経費精算における不正を防ぐための効果的な方法とは

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経費精算の不正が発生している企業は意外に多いものです。中小企業では、現在でも経理担当者が1人しかいないという企業もいくつもあります。このような環境では、不正な処理も見逃されてしまいがちです。こうした問題の多くは経費精算システムの導入で抑えることができます。この記事では、経費精算の不正の概要や、不正を防ぐためにはどうすればよいのかを説明します。

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経費精算における不正とは

経費精算における不正とは、実際に使った必要経費よりも多い金額を会社に請求したり、使っていない経費を詐称して会社に請求したりすることです。金額や企業規模の大小を問わず、多くの企業で頻繁に発生し、日本CFO協会が行った「企業不正に関する 実態調査結果」では、「企業の不正を見聞きしたことがある」という回答のなかの、「見聞きした不正」のなかで一番多く挙げられています。

経費計算の不正は経理部門だけの問題ではありません。部署に関係なく、交通費のような経費を利用するすべての社員に関係する問題と言っていいでしょう。

経費精算の不正にはどんなものがあるのか

経費精算における不正は、水増し請求がほとんどです。以下で不正な申請が起こりがちなケースについて具体的に見ていきましょう。

交通費

経費精算における不正で多いのが、交通費の申請です。不正のパターンはいくつかあります。代表的なものが、金額が正確ではない場合です。多くの会社では、出張や外出のときにはもっとも交通費が安くなるルートを通ることを求められますが、ほかのルートを通ったことにして差額分を水増し請求するものです。また、この水増し請求には格安チケットを購入して特急列車や新幹線の正規料金を請求するというパターンも含まれます。あるいは、通勤定期券の区間内で済むような場合にも、移動した分の交通費がかかるものとして請求するというケースもあります。

接待費

実際には接待ではない社員同士の飲食を経費として申請するケースです。

領収書の改ざん

経費精算の際に、提出する領収書の金額を改ざんし、かかった金額よりも大きな額で申請する方法です。金額や日付が手書きになっている領収書は比較的改ざんしやすいでしょう。

重複精算

あらかじめ領収書のコピーを作成しておいて、日付の部分を改ざんし、同じ領収書で何回も経費精算の申請を行うという方法です。手書きの領収書は、金額の改ざんだけでなく、重複精算もしやすいと言えます。

会社携帯の私的使用

会社から業務のために支給されている携帯電話やスマートフォンを私的に使う方法です。これは、私的な通話やインターネット接続の料金(通信費)を会社に負担させることになります。

カラ出張

実際には出張していないのに、架空の出張申請をして、その交通費やホテル代を経費精算する方法です。ほかの方法よりも水増しできる金額が多くなります。

 

    経費精算における不正リスクと対応方法

    常態化するとどうなるのか

    経費精算における不正は、会社の雰囲気、さらには営業利益にまで悪い影響を及ぼします。

    • 利益の減少
      申請される経費の額が実際よりも多くなると、その分、本来は得られる利益が減ってしまいます。不正な申請1回ごとの金額は小さくても、人数や回数が増えれば影響は大きくなるでしょう。

    • 社員のモチベーション低下
      不正が常態化している会社では、お互いに、誰かが不正な申告を行っているのではないかという不信感を抱いてしまいます。これでは、社員同士の信頼関係が築けません。そのままでは、業務に対するモチベーションの低下につながってしまいます。
    • 脱税扱いされるリスクも
      不正によって経費が実際よりも増加すると、その分利益が減少します。つまり課税対象額が小さくなり、納税額も減るということです。これは、税務署から見ると脱税行為にあたります。

    どう対応すればよいのか

    不正が疑われた場合は、適切な対応が必要です。不正を行った社員に逃げられたり、誤解で責めたりすることのないように注意しなければなりません。

    1. 調査と証拠集め
      本当に経費精算の不正があったのかを十分に調査し、証拠を確保します。不正を行った社員を確実に追求できる材料をそろえ、また、誤解による冤罪(えんざい)を防ぐためです。

    2. 本人への事実確認
      集めた証拠を提示して、本人への事実確認を行います。本人が不正を認めた場合、後のことも考えて内容について書面を作成、本人の署名をもらっておきましょう。
    3. 社内外での処分
      不正の程度に応じ、処分を行います。社内の処分としては、社内規定に照らして減給、出勤停止、解雇などの処分が行われることが多いです。金額が多い場合や悪質なケースの場合は、詐欺罪で刑事訴訟や民事訴訟を行い、損害賠償請求や懲戒処分が行われることもあります。

    しかし、重要なのは不正が起こってから対応する方法ではありません。あらかじめ、不正な申請ができないような仕組みを作ることです。

     

      経費精算における不正の原因と防止策

      不正はなぜ発生するのか

      • 経理部門のチェックの甘さ
        経理部門の作業は確認作業が多くとても煩雑なものです。さらに、担当者が少なく仕事量が多すぎると、どうしてもチェックが甘くなります。そのため、不正な申請にも気づかずに通してしまうこともあるものです。
      • 申請側の問題
        経費を申請する社員には、経費の範囲を誤解している人もいます。また、なかには多めの経費を請求するのは自分たちの役得だと思っている人も皆無ではありません。そのため、過大な金額で申請されている場合もあります。
      • 偶発的なミス
        交通費は、故意による不正ではなく、ミスによって多く請求されている場合もあります。

      経費精算の不正を防ぐためには

      従来行われてきた経費精算の不正対策

      従来、不正を防ぐために経費精算の申請書を経理部でしっかりチェックする、事前申請などを行って申請前に不正を防ぐといったことが行われてきました。また、これに加えて経費精算の不正は犯罪行為であるという教育を全社的に行うことで社員の意識改革を促し、不正を減らす努力も行われていました。ただし、結局はどれも人手がかかることには変わらず、そのような工数を増やしたにもかかわらず完全な不正防止にはならなかったのです。

      これからは経費精算システムの導入で解決を

      しかし、経費精算システムがあれば、経費精算業務が効率的になるだけでなく、不正な申請の多くを未然に防げます。機能の一例を紹介します。

      • 自社規程の自動チェック
        自社の規程に準じて、申請の内容に不備や不足があれば、申請ができなくする設定が可能です。たとえば、祝日のタクシーや規程額を超える申請は受け付けないということができます。
      • 交通費の経路検索
        電車乗車時は、出発地と経由地、目的地を入力すると、最安のルートとその経費を自動的に計算します。それ以外のルートや金額で申請すると警告が表示され、申請ができなくすることも可能です。
      • クレジットカード連携
        法人クレジットカードと連携することで、実際に行った取引を元にデータが連携されます。また、金額や購入先の編集ができない仕組みであれば、ガバナンス向上が期待できます。

      これらの機能により、故意の不正はもちろん、うっかりや確認ミスで結果的に不正な申請となってしまうパターンも防ぐことができます。

       

      まとめ:経費精算の不正を防ぐための内部統制は、社員を守るためのもの

      経費精算の申請に承認を必要としたり、社員からの申請を細かくチェックしたりすることは、一見、社員を信用していないように感じるかもしれません。しかし、経費精算の申請を厳しくして不正を行いにくくすることは、大多数の真面目な社員を守ることにもつながります。事前に不正行為を防ぐことで相互の信頼関係を損なわず、職場の雰囲気を維持し、モチベーションの低下を防ぐことにつながるからです。会社と社員を守るためにも、経費精算システムを導入し、経費精算の不正を防ぎましょう。SAP Concur なら、多様な外部連携で、利用実績データがシステムに自動入力。後から編集ができない仕組みなので、不正抑止には最適です。ぜひご検討を!

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