コロナ禍で生まれた新しいアイデアとは?SAP Concurが2021年の展望を発表

SAP Concur Japan |

激動の2020年も終わりに近づき、SAP Concurのリーダーたちは、来年はイノベーション、復活、刷新の年になると考えています。2021年は、最近のどの年とも異なる年になると予想されますが、現代最悪のパンデミックを経て、生活が徐々に正常に戻り始めた年として記憶されるかもしれません。

2021年、世界中のほぼすべての分野で大きな変化が続くでしょう。ここでは、私たちのグローバルチームが、来年の展望と予測を共有します。彼らは、困難な時代からは、世界に利益をもたらす新しいアイデアが生まれると考えています。

1.出張の再開

2021年には、「責任ある出張」の時代が到来します。
業界を超えた企業連合体は、顧客の信頼を取り戻すための取り組みを強化し、出張の安全性を示すでしょう。そして、2021年から本格的に出張が再開します。ホテル、航空会社、鉄道会社、ライドシェア、レンタカーサービスを含む旅行会社は、ワクチンが広範に使用されるようになるまで、COVID-19に関する健康状態の開示を出張者に義務付ける可能性があります。これは、ゲートやレンタカーのピックアップ時の検査を含むCOVID-19や抗体検査の結果から、ワクチンが利用できるようになった後のワクチン接種の証明まで、多岐にわたるでしょう。旅行業以外の事業者の中には、すでにこのような方針を検討している企業もあります。年の半ばから後半にかけて、既に出張に行っている人の感染率が低いことが判明すれば、それまでは出張を控えていた幅広い層も出張を再開するようになるでしょう。

企業は健康予防への意識レベルを引き上げるでしょう。
地域ごとのCOVID-19感染者数の増減に伴う各国の政策が異なるため、企業は従業員に旅行前後の自主隔離等、政府のガイドラインに従うことを求めます。出張中にマスク義務を遵守していることを文書で証明し、マスク着用の義務が出てくる可能性もあります。これらのプロトコルは、SAP Concur の国際比較調査で判明した、従業員が最も懸念している「家族への感染(55%)」と「出張中の感染(53%)」に対応するものです。従業員が日常生活で取り入れている健康と安全のための習慣を実践できるようになれば、出張がより現実的になるでしょう。

サステナビリティが重要な課題となるでしょう
旅行者を惹きつけるのは、健康と安全だけではありません。新しい環境調査によると、企業は一時的な出張休止期間を利用して、環境的に持続可能な慣習を、企業の出張プログラムに追加することを求められています。例えば、マイクロソフト社は持続可能な航空燃料を購入することで、従業員が利用する飛行機が放出する有害物質を減らすことに成功しています。これらの取り組みは、持続可能性を重要視する69%の旅行者に良い印象を与え、出張回帰への動きに繋がるでしょう。

-Mike Koetting, Chief Product Strategy Officer, SAP Concur

2.AI活用の加速

ビジネスや社会におけるデジタル変革のペースが急激に加速します。
パンデミックが発生した際、多くの企業はデジタルトランスフォーメーションの初期もしくは中期段階にありました。それらの企業は、前例のない世界の混乱と顧客のニーズに対応するために、変革を進めてきました。そして今では、この新しい状況の中でデジタル変革を継続することが求められています。

自動化が必要不可欠なものになるでしょう。
企業がハイブリッドなリモートワークモデルを維持し、2021年以降のコロナウイルスによる混乱を予測する中で、職場における自動化の役割とAIの活用事例は増加します。これには、在宅で仕事をするビジネスパーソン間の効率的な日々のコミュニケーションを可能にすることや、大切なパートナーへの支払いを継続し、予算を維持するための請求書や経費の自動化などが含まれるかもしれません。また、パンデミックによってもたらされたビジネスニーズを満たすために、財務の透明性に裏付けられた迅速な意思決定を行う目的で、AIアルゴリズムを活用する企業が増えることも予想されます。これには、予算管理と流動性を向上させるためのリアルタイムでの支出管理、コンプライアンスの向上とエラーの排除、収益性の最大化などが含まれます。

アプリケーションにインテリジェンスを加え、手作業のプロセスを排除するためにAIやMLを幅広く活用することで、企業は生産性を向上させ、競争力を高めることができます。例えば、SAP Concurが委託した最近の調査では、アジア太平洋地域の従業員の38%が、紙に記入して領収書を同封し、手作業で経費を提出していることが明らかになりました。企業は、財務・管理プロセスを自動化することで、毎年数万ドルから数十万ドルを節約し、従業員の満足度を向上させることができます。

-Andy Watson, SVP & General Manager for Asia Pacific Japan and Greater China, SAP Concur

3.多様性、平等、インクルージョンの進歩が進む

2020年、職場文化に大きな変化が見られました。
パンデミックの影響で従業員のメンタルヘルスが悪化し、女性社員の職場離れを含む世界的な失業が増加しています。米国では、ダイバーシティ・トレーニングの数も減少傾向にあります。これらの状況は、企業の多様性、平等、インクルージョンの取り組みを後退させ、従業員の不安をさらに増大させています。

2021年は人材活用ルールの方針転換について新たな波がやってきます。
組織全体のより多くの代表者が企業の政策変更に関与するようになるでしょう。財務部門のリーダーは、多様な人材を採用することに注力し、また、2019年には2330億ドルと推定されている離職に関わる財務的な影響を回避することに努めるでしょう。加えて、SAP Concurの調査では、女性やLGBTQの出張者に対する安全性やハラスメントの問題、アジア系の出張者が出張の再開に伴い差別に直面する可能性があることが明らかになっています。最低運賃を優先するなどの従来の出張ポリシーは、2021年以降、より安全性と従業員のことを考慮したルールに移行することが予想されます。

4.消費者出張の変化

出張における長期滞在は今後も続くと考えられます。
自主隔離政策の変更や新たに拡大されたWFvHの定義(別荘や旅先での仕事など)からわかるように、消費者はコロナウィルスが普及する以前のような手軽な旅行はできなくなっています。TripIt のデータによると、平均旅行期間は長くなっており、旅行者が計画的に旅行していることがわかります。そして、オンライン授業やテレワークの普及といった理由により、宿泊施設への長期滞在が人気の選択肢であり続けるでしょう。

持続可能なサステナビリティについて。
パンデミックの影響で2020年には2019年に比べて排気ガス量は8%減少すると予測されています。旅行者は、より効果的な座席レイアウトから、低炭素で持続可能な航空燃料に至るまで、持続可能な方法で旅行業が再開・継続されることを強く求めています。2021年には、消費者は目的地でより多くの時間を過ごし、ペーパーレスの搭乗券や旅程表のソリューションを利用し、ローカル食材を使ったレストランで食事をし、再生可能なアメニティや水の節約など、環境に配慮したホテルでの宿泊を選択するようになると予想されています。消費者は、Co2の排出量を簡単に算出し、またそれを相殺できるようなソリューションを探すようになると予想されます。

デジタルヘルスパスポート、トラベルコリドー(相互の国が合意している域内旅行)が主流になります。
トラベルコリドーが2021年、特に春に普及するでしょう。新型コロナウイルスのワクチンの登場により、旅行者、旅行業者、政府の自信が世界的に高まりますが、ワクチンの供給にどれくらいの期間がかかるかは不明であり、ワクチンの普及速度には世界的な不公平が生じる可能性があります。したがって、ワクチン接種率の高い国からワクチン接種率の低い国への移動が問題となる可能性があります。迅速な検査がより正確になり、さらには普及することで、旅行や接客業の再開が可能になると期待されています。旅行者のワクチン接種歴や検査結果を表示するデジタルヘルスパスポートが、トラベルコリドーとともに、旅行のニューノーマルへの移行に伴って登場するでしょう。      

-Fiona Ashley, VP, Travel Marketing, SAP Concur

5.中小企業がチャンスをつかむ

中小企業はビジネスを行うためのコストを削ります。
多くの中小企業がパンデミックの経済的影響を生き延びるために戦っており、一刻も早いワクチンの配布が望まれます。運用コストの継続的な削減と不必要な支出を制限することが重要です。しかし、ワクチンを入手することができなければ、残念ながらコスト削減のみの施策では不十分でしょう。いくつかの企業は余裕を持ち、共通の能力を有するようになります。それは、コスト削減とビジネスを発展させるテクノロジー・ソリューションへの投資に支えられた需要を創出し、サポートする能力です。これらのソリューションは、逼迫した予算の中でビジネスを遂行するために必要不可欠なプロセスを自動化し、デジタル化するものです。経営者はまた、キャッシュを保持するためにローンや定期的な支払いの条件を再交渉することも検討するでしょう。加えて中小企業も、経済の不確実性に耐え、従来のサービスを超えた価値を提供してくれる(銀行機関の低金利のクレジットカードなど)ベンダーやパートナーを探す必要があります。これらのステップにより、中小企業は市場の長引く不確実性に対処しながら、悪化したキャッシュフローを立て直すことができます。とはいえ、経済は中小企業の雇用と経済活動に依存しているため、政府や大企業が中小企業の支援に乗り出すことも考えられます。

新しいビジネスモデルやベンチャー事業が、既存の市場の変革を生むでしょう。
COVID-19の経済的影響により、多くの中小企業が倒産しました。同時に、パンデミックはビジネスの新たなコンテクストを生み出しました。市場のギャップが新たなビジネスの機会を生み出したのです。新規ビジネスの申し込みが急増していることから、新たな製品やサービスの需要を満たすためにマイクロサービスや「副業」を模索する起業家が増えていることがうかがえます。新しい企業が参入してくると、そのリーダーたちはデジタルソリューションとハイブリッドビジネスモデルを活用して、混乱した市場での急成長と回復を試みます。より多くの中小企業がデジタル・コマースを導入し、販売場所を変更したり、対面販売からオンライン販売へ完全に、または一部を移行することが予想されます。 これにより、中小企業を支援するために、人々が「地元で買い物をする」という新たな選択肢が生まれます。そして、中小企業にとっては致命的であったサプライチェーンでの格差を埋めることになるでしょう。

-Val Blatt, General Manager, Global Small to Medium-sized Business Division, SAP Concur