導入事例

【SAP Concur innovation Award 2024受賞記念インタビュー】オムロン株式会社様

SAP Concur Japan |

2024年3月、SAP Concur innovation Award 2024の授賞式を行い、オムロン株式会社様が受賞されました。SAP Concur innovation Awardは、SAP Concurを用いたユニークかつ刷新的な取り組みで、デジタルイノベーションやビジネスプロセスの改革に取り組んでいる企業を表彰する目的で2024年新たに創設したものです。

同社は、Concur Travel&Expense(出張・経費管理クラウド)をご採用され、グローバル各国への展開プロジェクトを進めています。今回は、SAP Concurを活用し間接費に関するビジネスプロセスの改革を主導された、同社の守屋様にお話を伺いました。

オムロン守屋様

グローバルテンプレートを作成する意義

オムロン株式会社(以下、オムロン)は「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲のもと成長を続け、今では世界130カ国で事業を展開するグローバルカンパニーだ。一般的にもヘルスケア領域、具体的には体温計や血圧計などで有名だが、事業の主軸は工場の自動化、ロボットなどの制御機器、電子部品などである。
そういった企業の中で、守屋氏のチームは会計領域でのシステムを中心に担当。現在進めているERP導入プロジェクトのような新しいシステムの導入に関するプロジェクト推進に加え、既存システムの保守・運用、プロジェクトメンバーのアサインなどが主な業務だという。SAP Concurの導入、運用も業務の1領域として担当してきた。

さて、今回のアワードは、「SAP Concurを用いたユニークかつ革新的な取り組み」ということが表彰のポイントである。オムロンの中では、このことをどのように捉えられているのか、守屋氏は以下のように解説する。

「弊社のSAP Concurの導入プロジェクトというのは、SaaS型の仕組みを使って、かつグローバルにそれを標準業務プラットフォームとして提供する、そのために業務を標準化していくプロジェクトですが、弊社のシステム導入の歴史の中ではあまり前例がないですね。とはいえ、何かすごくユニークな、突飛な新しい取り組みだったかというとそういうわけでもなく、そのアプローチを着実に実行して標準化できたことがすごくイノベーティブなことだと評価しています。
また、同時並行で進んでいる他のプロジェクトでも同様なアプローチで成果を出せていますが、SAP Concurは展開しているリージョンも特に広いですし、多くの従業員がユーザーとして利用するということもあって、巻き込み方としても非常に規模が大きい。そういったアプローチを実践できたことはグローバル標準のシステム導入の先駆けとして学びも大きかったと評価しています。ここでの知見を今まさにERP導入、その先のデータドリブン経営の実現のように、さらに大きい取り組みを計画していますけど、 ”先行取り組みの学び” としてそれを活かしていくことができる点が非常に高く期待されているし、評価に値するポイントだと思っています」

オムロンでのSAP Concur導入プロジェクトは、日本、欧州、アメリカなど、世界各国での展開を進める大掛かりなものだ。プロジェクトメンバーは、業務プロセス側のメンバーはオランダに、IT側は日本の本社にいるという構成で、時差の壁を乗り越えながら共同で進めている。グローバル展開を進める手法は企業によって異なるが、オムロンでは、いわゆる「Fit to Standard」(業務をシステムに合わせる手法)で進めることを決断した。また、「Fit to Standard」をスムーズに進めるための「グローバルテンプレート」を作成している。「グローバルテンプレート」を作成した背景について

「トップダウンで、各国の要望はなしで、決まったプロセス通りやってもらうという考え方も当初はありました。ですが、それだと各国の法令だとか慣習に合わない部分が当然出てくる。そうすると、各国がやりたいことや、今までやってきたことを全て捨てないといけないのかと思われてしまい、結果としてブラックボックスになる部分が生まれてしまったり、「Fit to Standard」がスムーズに進まなかったりするのではと思いました。そこでグローバルで守るべき定義やどこまで誰が決められるのかということを、時間をかけて整理したのです」

と語る。ここで、オランダと日本、プロジェクトメンバーが2拠点にいる意味が生きた。本社だけでグローバルテンプレートを考えると、どうしても日本よりの、日本のテンプレートに近い形になってしまう。だが、オランダのメンバーも一緒に考えることができたため、グローバルテンプレートはこうあるべき、と本社から提案したことも、それは日本特有ではないのか、という視点が生まれる。オランダという、欧米寄りの考え方を持ったメンバーと一緒に進めることで、いろいろな側面からきちんと設計することができたのだ。

まずは日本から 導入プロジェクトの流れ

策定したグローバルテンプレートを活用し、導入プロジェクトは日本から開始された。プロジェクトを進める中で、テンプレートの変更は必要にならなかったのか。

「結果として大部分はフィットしたのですが、もちろんやってみて気づくこともたくさんありました。日本の次は東南アジアでのプロジェクトでしたが、東南アジアではフィットしないな、とか、やっぱり改めて考えるとこれはグローバル全体としてはこちらの方がいいのでは、ということも。ですが、グローバルテンプレートの定義自体を変更するということではなく、定義に沿って柔軟に中身を変えていく、という形をとりました。そうやってグローバル展開を進めていくことで、直近のアメリカ導入に関しては99%ぐらい、今あるグローバルテンプレートをフィットさせてそのまま入れることができました」

テンプレートの定義は変えず、中身を進化させていくことで導入プロジェクトを柔軟に進めることができたのだ。グローバルテンプレートを活用した導入がうまく行った理由を聞くと、「各国の個別要件のすり合わせを2〜3ヶ月かけてじっくり行ったこと」「テンプレートに対するこだわり・強い意志」という2つの答えがあった。

「一口に国個別要件と言っても、それが法律なのか、文化なのか、想いみたいなことなのか。さらに、個別要件を採用しなかった時の影響も含めてきちっと話し合う。全部の要望を受け入れることはできませんし、プロジェクトチーム側も守りたいものがあります。ただ、その守りたいものが相手にとっても同じように守りたいもの、もしくは乗っかりたいものになるように、時間をかけた対話をすることで導入後の活用度・満足度を上げることができたと感じています。また、そういった対話の過程で、オランダにいるメンバーも日本のメンバーも、チームの誰が出ても同じマインド・熱量でテンプレートの定義を伝えられるようになりましたし、こだわり・意志を理解してもらえるようになったと思います」

こういったやりとりは全て、オランダと日本のチーム双方で情報共有しながら進めたこともこのプロジェクトの大きな特徴である。コロナ禍でのプロジェクト進行ということもあり、基本的にはオンライン会議、メールでのコミュニケーションだった。何か検討がある時は、日本の午前中から午後にかけて日本側でまとめ、夕方オランダにパス。今度はオランダの午前中から午後で議論する、それをまた夕方に日本に戻す。顔を合わせて一緒にやれたらもっとスピード感を持って進められたのでは、という思いもあり、外部環境に振り回された部分もあったというが、コロナ禍以前はオンライン会議さえあまり行っていなかったという状況にも関わらず、かなりスムーズな対応だったと言えるだろう。

SAP Concurの採用と今後の展開について

現在、導入プロジェクトは利用人数でみると70%程度完了しており、2024年下期からは欧州への導入が進んでいく。

「これが完了すると、オムロンのグループ会社が存在する全ての国と、全ての従業員が使える状況になります。欧州はサステナビリティにも厳しいので、独自要件がそれなりに出てくるのではと思っているので、7つのWaveに分けて実施していく予定です。実は、すでに欧州では別のインスタンスでConcur Expenseは導入されていますので、今回のグローバルテンプレートに合わせた入替というのが実態です。そのため、グローバルテンプレートとの違いをきちんと説明していかないと、SAP Concurを知っているが故に難しいところも出てくるのでは、と思っています。その説明期間をきちんととっていかないといけないですね」

今後は、溜まってきたデータを活用して業務効率化やガバナンス向上の効果をはかり、よりよい活用に活かしていく方針だ。もともと旅費・経費精算のプロセスに特化して検討していたわけではなく、コーポレートシステムプロジェクトと呼ばれる、全社の経営システムとITシステムを標準化・効率化していくことでグローバルガバナンスと効率性を担保するプロジェクトの中で旅費・立替経費精算についても検討がはじまった背景がある。当初より考えていた効率化やガバナンスの効果が出ているかをきちんとみて、どうすればもっと良くなるかを検討することも、プロジェクトの重要なポイントだ。

最後に、これからSAP Concurのプロジェクトを進める方へのコメントをいただいた。

「プロジェクトチームというものは、線の引き方を間違えてしまうとチームとしてうまくいきません。コンカーさんとは契約関係ではありますが、目指す姿はコンカーさんとしても同じはず、オムロンがこういう導入ができたというのは嬉しいはず、と思います。そうなってくると、会社は違いますが、プロジェクトチームとして目指す姿の立場は同じなので、どこにどうやって役割の線を引くかが重要。会社として契約として、ここまではできる・できない、という線はありつつ、そうではない領域をどこまでお互いに拾い合えるか、ということがプロジェクト推進の肝になると思います」

――――――

この度はインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。また、ご受賞、本当におめでとうございました!

お客様導入事例について詳しくはこちら

導入事例
モバイルで経費精算の申請承認がいつでも可能となり出張者の経費精算の遅延が激減また全社員の規程チェックや日当計算に追われていた経理部門の業務も大きく削減社員の働き方を改善することができ...
もっと見る
導入事例
SAP Concur Fusion Exchange イベントレポート ソコが知りたい Concur Travel導入企業社に聞く成功の秘訣と本音 年月日東京六本木のグランドハイアット東京にてSAP Concur Fusion Exchange 主催...
もっと見る
導入事例
経費をガラス張りにすることでコンプライアンス強化のほか決裁者やユーザーの作業工数の削減決裁のスピードアップなどの効果もありましたまた内部監査部門での詳細で高度な監査遂行にも役立ってい...
もっと見る