経理・総務の豆知識
立替経費の経費精算とは?その対象や処理方法、電子帳簿保存法対応について
立替経費とは、本来、会社が負担すべき経費を、社員が一時的に立て替えた場合の経費です。このような場合、立替経費を経費精算しなければなりません。以下では、立替経費とは何か、立替経費の精算の対象や処理方法、また、電子帳簿保存法対応についてみていきましょう。
そもそも立替経費とはどんなもの?何が含まれるのか?
そもそも、「立替経費」とは何でしょうか。立替経費は、「立替購買」とも呼ばれます。本来は会社が負担すべき経費を社員が一時的に立て替えた経費全体を指します。例えば、会社で購入すべき文房具を社員が購入した際にも「立替経費」となりますし、交通費や交際費などを社員が立て替えた際にも、立替経費となるでしょう。通常、会社の経理においては、「立替経費」は、「消耗品」や「交通費」など、それぞれの具体的な勘定科目で処理しています。
具体的には、以下のものが含まれます。
- 会社で購入すべき文房具を社員が立て替えた場合の費用
- 会社で負担すべき交通費を社員が立て替えた場合の費用
- 会社で負担すべき取引先を接待した場合の飲食に関わる費用
- 会社で負担すべき取引先に贈ったお中元やお歳暮の費用 など
また、「立替経費の経費精算書」の提出を規定している会社もあります。「立替経費の経費精算書」とは、本来会社が負担すべき経費について、一時的に金銭を立替えて支払ったものを、後日、会社より精算してもらうために提出する書類のことです。
電子帳簿保存法の対応が必要な経費は何か?
電子帳簿保存法に対応した場合、電子的にもらった領収書と紙でもらった領収書では対応が異なってきます。領収書でも、昨今ではインターネット上で購入した商品の領収書をWebサイトからPDFファイルで入手できるケースが増えてきました。
PDFファイルは、「電子領収書」と呼ばれ、電子帳簿保存法においては、原則として、そのままPDFファイルの状態で保存しなければなりません。立替経費においては、取引先に贈るお中元やお歳暮などを自分でネット購入し、領収書をWebサイトからPDFで入手する場合などが該当するでしょう。
一方、紙で受領した領収書は、スキャン、或いはスマートフォンで撮影するなどし、領収書を電子化する処理が必要になります。立替経費において対応が必要な紙の領収書には、お客様先でのインタビューに必要なレコーダーの購入を自分で立て替えた際、電器店でもらったレコーダー代の領収書などがあります。
領収書を電子化するシステムの機能要件とは
立替経費の領収書を電子化する際には、どのようなルールがあるでしょうか。電子化に際しては、電子化の要件に対応した製品の利用が必要となってきます。ここでは、製品が対応すべき機能要件をConcur Expenseの機能をもとに簡単にみていきましょう。
1 .タイムスタンプの付与
一般財団法人日本データ通信協会に認定されたタイムスタンプ事業者が発行するタイムスタンプを、スキャン・撮影した領収書の画像に対して付与する必要があります。
2. バージョン管理
領収書の画像データを訂正や削除した場合、それらの事実と内容を確認できる必要があります。
3. 入力者等の情報の確認
領収書の「入力者」または「入力者を直接監督する者」の情報を確認できることが必要になります。Concur Expenseの場合、読み取った画像が受領した領収書と同等であると確認する担当者は、領収書受領者本人がスキャン・撮影した場合はその本人となります。
4. 検索機能
申請・承認された経費と添付されている領収書の画像を、適宜検索できる必要があります。Concur Expenseは、従業員から提出された申請の単位で検索を行うことができます。
立替経費の領収書電子化のルールの詳細は、「領収書・請求書電子化完全ガイド」をご覧ください。
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【こちらのマニュアルも参考にしてください】
はじめての旅費・交際費・経費精算規程作成マニュアル
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<プロフィール>
細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。
(執筆:細田聖子)