電子帳簿保存法・インボイス制度
【経理のFさん】電子帳簿保存法を運用しているコンカー社が、税務調査を受けた話
皆さんこんにちは。株式会社コンカーの金庫番こと経理のFです。
本日は、弊社が電子帳簿法(以下、電帳法)適用下で税務調査を受けた経験をお話します。
(前回の記事はコチラ:SAP Concurで電子帳簿保存法を運用したらオフィスから紙がなくなった話)
この話は、私が一本の電話を受ける場面から始まります…。
お盆が終わったある夏の日の、まだまだ暑い頃でした。
お昼休憩が終わり、さて午後の業務…と思ったとき、私のデスクにある固定電話が鳴り響きました。取ってみると顧問税理士の方からでした。
「税務署から税務調査の連絡がありました。」
キターーーーーー (ー_ー)!!
ありがたいことにお客様も増えてきた現在、「いつ税務調査が入ってもおかしくはない」とは言われてはいましたが、まさかこんなにも突然にその時が来るなんて・・・!!
弊社は2017年4月から領収書、2018年10月から請求書の電帳法の運用を開始しているため、今回の税務調査は電帳法運用開始後の期間も含まれていました。
電子化によって、従来の税務調査と比べてどのような変化があったのかというと…
1.証憑の取り寄せが不要に!
(貸し出したPCと会社案内)
税務調査や監査が入ると、まず対象期間の証憑類を倉庫から取り寄せることが必要になるのが普通だと思います。
弊社の場合は、電帳法を運用しているため、今回の税務調査対象期間の証憑類のうち、原本を提出する必要があるのは電帳法運用前の証憑類のみでした。電帳法運用後の証憑類についてはSAP Concurで随時検索し必要に応じてプリントアウトして提出します。
膨大なファイルを倉庫から取り寄せる代わりに、税務調査官に監査ロールのアクセス権限を付与することが必要となります。そのため、税務調査官1名に対し1台のパソコンを貸与しました。
幸い電帳法運用開始前の証憑類は社内のキャビネットに保管されており、電帳法運用開始後の証憑類はシステム内に保存されているため、膨大な量のファイルを倉庫から取り寄せる必要がなく、また調査が終わった後、諸々の仕事が滞っているなか、ファイルを倉庫へ戻す手間も費用もかかりませんでした。
すべて紙保存が必要だった場合には、証憑類の取寄せに手間も費用もかかったことでしょう。
2.証憑の素早い取り出しが可能に!
ある一つの取引先との取引内容をすべて確認する必要が出てくるようなケースの場合、今までは、まず会計システム内で取引先名から検索し、計上日や支払日と共に請求番号を確認し、倉庫から取り寄せた段ボールの中からその取引に該当するファイルを探し、さらにその中から該当する請求書などの証憑類を探す…という作業を行っていました。
そして、ようやく必要なことが確認できたら、今度はその証憑類を元あった箇所に戻さなければなりません。SAP Concurの使用により、取引先名で検索して出てきた取引内容を照会し、そこに保存されている請求書をプリントして提出するだけで良くなり、今までの作業がなんとも非効率で無駄であったかがわかりました。
貴重な労働時間を非効率で無駄な作業に費やすことほど、従業員にとっても会社にとっても損なことはないと思っているので、こういった無駄な作業時間を削減できたことは従業員にとっても会社にとっても有益なことだなぁ…と実感しました。。
3. 通常業務における紙管理が不要!
今回の税務調査を通じてメリットに感じたことは、今までの業務は紙プロセスを前提とし、ファイリングやラベリング、倉庫保管や棚卸し、データとの突合せ、廃棄等々を行っていましたが、電帳法運用を前提とした証憑類の保存方法では、これらの業務は不要となるということです。年間でみるとかなりの工数削減に繋がってくると感じます。また税務調査や監査対応時以外にも、他部署からの請求内容の確認等の問い合わせの際もいちいち紙のファイルをめくらなくて良くなるため、確認作業の負担も軽減されます。
まとめ:
このように電帳法を運用することで、より効率的に本業に集中することができ、本来行うべき業務を遂行することができます。また、今まで無駄な作業に使っていた時間を使いスキルアップが可能になったり、働き方が改善し、ワークライフバランスを最適化することができるようになります…我々経理には色んなメリットがありそうです!
電帳法を運用し、税務調査や監査などの対応時に効率的に証憑類を提出できるような体制が整っていることは、将来的にはあって当然な社会になっていくのでしょう。問題は「いつ踏み切るか」なのかもしれません。少しずつ着実に経理業務も電子化が進んでいることを実感する税務調査となりました。
▶経理のFさんシリーズ、第三回でまたお会いしましょう!
経理のFさんシリーズ
・第一回:SAP Concurで電子帳簿保存法を運用したらオフィスから紙がなくなった話
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著者紹介
経理のFさん
日本の大学を卒業した後、アメリカの会計事務所で勤務。
その後も日本の自動車部品メーカー・輸入卸企業や日系企業のアメリカ法人で経理業務の経験を積む。
2018年コンカー社に入社し経理業務を担当中。
超がつくほどのベイスターズファン。「2月はキャンプ休暇をいただきます!」