電子帳簿保存法・インボイス制度
交際費精算とは?その対象や処理方法、電子帳簿保存法対応について
交際費には、会社の経費にすることができるものがあります。その場合、交際費を経費精算しなければなりません。また、「交際費」のほかに、「接待交際費」や「交際費等」と呼ばれるものがあります。以下では、交際費とは何か、交際費精算の対象や処理方法、また、電子帳簿保存法対応についてみていきましょう。
電子帳簿保存法対応についてより詳しく知りたい人はこちら:改正電子帳簿保存法 活用事例集
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そもそも交際費とはどんなもの?何が含まれるのか?
そもそも、「交際費」とは何でしょうか。交際費は、「接待交際費」とも呼ばれます。また、交際費を会社の経費とし、税法上の損金とするためには決まりがあるため、法人税法において「交際費等」の範囲を規定しています。会社によって勘定科目は異なりますが、通常、法人税法における「交際費等」を、会社の経理においては、「交際費」や「接待交際費」などの勘定科目で処理しています。
法人税法上の交際費等は「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用」と定められています。上記の「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、会社(自社)の事業に直接取引関係のある者だけでなく、間接的に会社(自社)の利害に関係のある者、及び会社(自社)の役員、従業員、株主等を含みます。
具体的には、以下のものが含まれます。
- 取引先を接待した場合の飲食代
- 取引先を接待するための飲食に関わるサービス料、テーブルチャージ料
- 取引先接待の飲食後に飲食店から持ち帰る品物(お土産)の費用
- 取引先に贈ったお中元やお歳暮の費用
- 自社の従業員だけで行った宴会の飲食に関わる費用 など
電子帳簿保存法の対応が必要な経費は何か?
電子帳簿保存法に対応した場合、電子的にもらった領収書と紙でもらった領収書では対応が異なってきます。領収書でも、昨今ではインターネット上で購入した商品の領収書をWebサイトからPDFファイルで入手できるケースが増えてきました。
PDFファイルは、「電子領収書」と呼ばれ、電子帳簿保存法においては、原則として、そのままPDFファイルの状態で保存しなければなりません。交際費においては、取引先に贈るお中元やお歳暮などをネット購入し、領収書をWebサイトからPDFで入手する場合などが該当するでしょう。
一方、紙で受領した領収書は、スキャン、或いはスマートフォンで撮影するなどし、領収書を電子化する処理が必要になります。交際費において対応が必要な紙の領収書には、飲食店でもらった食事代の領収書などがあります。
領収書電子化のルールと方法
交際費の領収書を電子化する際には、どのようなルールがあるでしょうか。受領した「本人」が電子化を行うのか、受領した本人「以外」の者が電子化を行うのかで異なります。
領収書を受領した「本人」が電子化を行う場合
原則、受領した翌日から「3日間以内」に、以下1~4までを行わなければならない。
領収書の受領者「以外」の者が、領収書をまとめてスキャン・撮影する場合
条件があるが、受領した翌日から「1か月+1週間(おおむね 37日間)以内」に、以下の1~4までを行えばよいことになる。
- 領収書受領、自筆で署名
- 領収書の撮影・スキャン
- 画像をアップロード
- タイムスタンプ付与
領収書電子化のルールの詳細は、「電子帳簿保存法はこう活用する!領収書・請求書電子化完全ガイド」をご覧ください。
また、実際に企業において領収書・請求書の電子化を行うために必要な対応は、どうなるのでしょうか。以下は、領収書・請求書電子化について国税庁が提示している電子帳簿保存法の法的要件と、それぞれの項目に対する主となる対応当事者を一覧表にまとめたものになります。
要件 対応当事者 真実性の確保 入力期間の制限 領収書・請求書受領後、「1週間以内(早期入力方式)」もしくは「業務処理の通常期間(1か月以内)+1週間以内(業務処理サイクル方式)」のいずれかを選択 受領者本人が入力を行う場合は、3日間以内に実施する 申請企業 画像の解像度 解像度が200dpi以上(もしくは3.88メガピクセル)であること RGB階調が256階調(24ビットから―)であること スキャナベンダーコンカー タイムスタンプ付与 1つの画像ファイルに対して、1つのタイムスタンプを付与 受領者本人が電子化を行う場合は、受領後、署名の上、3日間以内にタイムスタンプを付すること 申請企業コンカー 読取情報の保存 読み取った際の解像度、階調及び領収書・請求書の大きさに関する情報を保存すること 受領者本人が電子化を行う場合で、かつA4サイズ以下の場合は、大きさ情報の保存は不要 スキャナベンダーコンカー バージョン管理 領収書・請求書に係る電磁的記録の訂正・削除を行った場合は、これら事実を確認できるようにすること コンカー 入力者等情報の確認 領収書・請求書に係る記録事項の入力を行う者、またはその者を直接監督する者の情報を確認できること コンカー 適正事務処理要件 適正事務処理要件の事項を含んだ社内規程を定め、この規定に基づき各事務処理を行うこと 申請企業 可能性の確保 帳簿との相互関係性 領収書・請求書に係る電磁的記録と、当該領収書・請求書に関連する国税関係帳簿の記録事項との関連性を確認できること 申請企業コンカー 見読可能装置の備付け 要件を満たしたカラーディスプレイ・プリンター・その操作説明書を備付ること 規程に基づいた状態で、速やかに出力できるようにすること 申請企業 システム関係書類の備付け システム概要等を記載した書類、操作説明書、事務手続きを明らかにした書類を備付けること 申請企業 検索機能 電磁記録について、指定された要件による検索ができるようにすること コンカー
詳細は、「電子帳簿保存法はこう活用する!領収書・請求書電子化完全ガイド」をご覧ください。
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<プロフィール>
細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。
(執筆:細田聖子)