経理・総務の豆知識

与党税制改正大綱とは

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経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、今回は与党税制改正大綱がテーマです。

2021年12月10日に、令和4年度に向けて自由民主党・公明党の与党がまとめた与党税制改正大綱が決定しました。そもそも税制改正大綱とは何でしょうか?何を決めているものなのでしょうか?また、今回の税制改正大綱の内容にはどういったものがあるのでしょうか。これらについて、以下で詳しくみていきましょう。

質問:

税制改正大綱とは、何でしょうか。何を決めているものなのでしょうか。また、今回の税制改正大綱は、どういった内容なのでしょうか。

回答:

税制改正大綱は、与党の税制調査会が中心となり翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものです。税制は日々変化する社会情勢に応じて、毎年制度が見直され改正されます。税制改正大綱には所得、消費、投資、相続、法人などに関する増税、減税、新しい税の仕組みなどが細かく決められています。今回の税制改正大綱には、経費精算にも関連する、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関わる見直しや電子保存義務化の猶予についての改正も含まれています。

 

そもそも税制改正大綱とは?何を決めているものなの?

税制改正大綱とは、与党の税制調査会が中心となり翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものです。税制改正大綱は、税制に関する法律改正のたたき台ともいえるもので、例年、与党と政府がそれぞれ秋ごろから議論を開始し、12月中旬ごろにまとめられます。この与党税制改正大綱を踏まえて、「税制改正の大綱」が閣議に提出されます。例年12月中に税制改正大綱が閣議決定され、閣議決定された税制改正の大綱に沿って、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、翌年の通常国会に提出されます。衆議院と参議院で可決されると改正法案が成立し、改正法に定められた日から施行されることになりますが、翌年度4月から新しい税制が施行されることも多くみられます。

税制は日々変化する社会情勢等に応じて、毎年制度が見直され改正されます。改正とは、減税や増税のように税率や課税対象等を変えること、あるいは新たな税金を導入したりすることです。税金は、国民の生活や生産・消費活動に関連のあることなので、その改正される項目も多岐に渡ります。

景気対策、雇用促進、環境対策、少子・高齢化対策、企業支援、土地問題、財政健全化、災害対策など、その時々の最重要課題に対処するため、所得、消費、投資、相続、法人などに関する増税、減税、新しい税の仕組みなど、税制改正の内容を細かく定めています。大綱決定で翌年度の国の税収見通しが分かり、国民の暮らしや消費、投資、貯蓄、民間企業の事業計画などに大きな影響を与えます。

 

今回の税制改正大綱の内容とは?

今回与党がまとめた税制改正大綱は、正式には「令和4年度税制改正大綱」といいます。「成長と分配の好循環の実現」、「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」が柱です。

その内容には、住宅ローン控除等の見直しが含まれた個人課税、贈与税の非課税措置等を含む資産課税、いわゆる賃上げの税額控除の見直し等を含む法人課税、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関わる見直し等を含む消費課税、電子帳簿等保存制度の見直し等を含む納税環境整備のほか、国際課税、関税などが含まれています。下記にて2つほど詳細を見ていきましょう。

〇適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関わる見直し

令和5年(2023年)10月から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式 (いわゆる、インボイス制度)が導入されます。制度導入後、適格請求書(インボイス)を交付するためには、税務署長に登録申請を行い、適格請求書(インボイス)発行事業者として登録を受ける必要があり、申請から登録まで時間がかかることが見込まれていました。

今回の税制改正大綱では、免税事業者が2023年10月1日から2029年9月30日までの属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、その登録日から適格請求書発行事業者となることができるとされており、登録日から適格請求書(インボイス)発行事業者となることができる改正などが含まれた内容となっています。

〇領収書の電子保存義務化の猶予        

電子帳簿保存法は帳簿書類等の電子保存についての法律で、令和4年年1月に改正されます。その改正点の一つが、電子データの電子保存義務化でした。電子データで受け取った領収書などについては紙での保存が認められていましたが、改正後は、データで受け取った電子データを紙に出力して保存することは認められず、電子データで保存する必要があると定められました。

今回の税制改正大綱では、この電子取引における電子保存の義務化は、一定の要件のもと(やむを得ない事情があると認められ、なおかつ、出力書面によって適切に保存している場合)、2022年1月1日から2023年12月31日までの2年間の猶予期間が設けられる改正などが含まれた内容となっています。この2年の間に自社の仕組みを整えていく必要があるでしょう。

参考)令和4年度税制改正要望 : 財務省 (mof.go.jp) 令和4年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党 (jimin.jp)

 

まとめ

経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、2021年の最後は私たちの生活に大きく関係する税制改正大綱と実際の法施行までのスケジュール、今回の税制改正大綱の内容についてでしたが、いかがでしたでしょうか。今回の内容には適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関わる見直しや電子保存義務化の猶予についても含まれ、企業としても検討の必要があります。業務の進め方を見直し、適切に対応していくことが重要でしょう。

<著者プロフィール>

細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。

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