出張・経費管理トレンド
出張・経費管理のトレンド:2025 年に予想されること
2024 年は、AI が出張・経費管理(T&E)のブレークスルーへの道を開きました。SAP Concur の経営陣が予測したように、支出管理向けの予測分析などの新たな AI ユースケースにより、出張管理と経費精算が簡素化され始めています。その一方で、今年は旅行業界におけるパワーシフトにより、出張管理会社 (TMC) の統合が進みました。こうしたトレンドは、2025 年も続くことが予想されます。
以下は、SAP Concur の経営陣による今後の 1 年の予測です。
インフレの鈍化により出張機会が増える
「2025 年は、リーダーが自社を成長軌道に乗せることを目指し、従業員の支出を 2024 年並みに維持しようと努めるでしょう。2023 年からインフレによって支出が押し上げられ、結果として 2024 年の出張回数は減少しました。2025 年にはインフレが鈍化するにつれて、たとえ出張予算が前年比横ばいだとしても、出張は増加すると多くのリーダーは見ているようです」
「一方、財務チームと出張管理者は、タスクとプロセスの自動化が進むにつれて、AI を考慮して出張・経費ポリシーを調整することになります。管理者がすべての経費精算書を承認したり、精査したりする必要があるか?ポリシーやルールをどう変更すれば、出張者が T&E ツールに費やす時間を最小限に抑えつつ、ガバナンスも担保することができるか?2025 年はまずこれらの質問に答えることから始まるでしょう」
また、「テクノロジーイノベーションとセキュリティインフラストラクチャーへの投資が最優先事項になります。セキュリティインシデントやプライバシーインシデントに関連するリスクは、今後も増大の一途をたどるはずであり、企業はリスクを抑えながら顧客提供価値を高めるテクノロジーを求めています。ソリューションを設計する際に、(社内的にも顧客にとっても)セキュリティやプライバシーの非常に重要な側面を軽視することなく迅速に行動するには、絶妙なバランス感覚が求められます」
– クリストファー・ジュノー (Christopher Juneau)、ISBN マーケティング & ソリューション担当 SVP 兼 SAP Concur 製品マーケティング責任者
早期の慎重な対応が出張向け生成 AI の信頼性を高めることになる
「2025 年は、出張管理向け生成 AI に対して健全な懐疑心が芽生える年になるでしょう。2024 年の SAP Concur グローバル出張者調査では、出張者の 95% が AI を活用した自動化による作業の支援を検討していることが判明しました。しかし、ビジネス機能全体にわたって AI の採用が広がり、大勢のユーザーが ChatGPT のようなツールを利用して、あまりにも急速に状況が進んでいく中、何もかも AI 任せにはしたくない、まずは慎重に実験的に使用したいと思う出張者もいるはずです。ユーザーは、AI をレコメンデーションの取得、トレンドの特定、経費の異常の発見に使用できる「便利なアシスタント」として受け止めはしても、出張の予約や経費精算書の提出を安心して AI に任せることはまだないでしょう」
「とはいえ、ソリューションプロバイダーは思いとどまるべきではありません。これは信頼を築き、AI オファリングを強化する機会であり、最終的にユーザーと企業が飛躍する準備ができたときに、すべての人にメリットをもたらします」
「ユーザーエクスペリエンスに対する出張者の期待は高まり続け、それとともに基本的なサイトや「ありきたり」なサイトに対する満足度は低下するでしょう。これはすべてのデジタルユーザーエクスペリエンスに当てはまりますが、特に旅行においては出張、観光を問わず顕著です。異常気象事象などの混乱時は、出張の意思決定に与える影響が非常に大きく、注意義務の提供が重要になります。そのため、旅行会社には最新情報を連続して提供し、問題解決を支援してほしいとの要求が高まると予想されます。出張者は、天候関連の変化に対応するためにリアルタイムの情報とソリューションを求めています」
– ジェン・モイス (Jen Moyse)、Concur TripIt 製品担当シニアディレクター
財務リーダーが最新テクノロジーの導入に向けて C レベルの経営幹部全体と連携する
「財務部門は、ビジネスの舵取り、イノベーションの推進、顧客の維持においてますます重要な役割を担うことになり、2025 年はその役割がさらに高まるでしょう。最新の SAP Concur CFO インサイトレポートは、CFO がすでに上級幹部との距離を縮め、事実に基づく迅速な意思決定の推進を支援し、トレンドの分析と予測の両方にテクノロジーを活用するよう求められていることを示唆しています。財務部門は、スキルとビジネスの全体像を提供することで IT 部門やエンジニアリング部門の理想的なパートナーとなり、新市場の開拓、ソリューションの開発、部門横断的なプロセスオートメーションと標準化、ビジネスモデルの変革を促進します」
「企業がオフィス勤務への回帰の方針を実施する中、オフィスへの回帰や出張の増加によって企業全体の姿勢にリスクが生じることがないように、財務部門、IT 部門、セキュリティ部門間のパートナーシップを強化し続ける必要があります。セキュリティインシデントやプライバシーインシデントは企業に重大なリスクをもたらすため、テクノロジー機能の活用、入金までのプロセスの推進(自動支払いなど)、セキュリティ体制の改善につながる投資は、おそらく優先順位が高くなるでしょう」
「ハイブリッドワークのもう 1 つの効果は、出張が増え、それに応じて出張予算も増加する可能性が高いことです。それでもやはり、企業はコンプライアンスとサステナビリティを犠牲にしないように進めるはずです。ここでも、コンプライアンスと ESG(環境、社会、ガバナンス)の考慮事項を優先するテクノロジーへの投資を導くのに最適なサプライヤーランドスケープを確保する上で、財務部門が重要な役割を果たします」
「財務部門の意思決定者は、2025 年には AI を全面的に取り入れるはずです。しかし、投資先について十分な情報に基づいた意思決定を行えるようにするには、財務プロセス内で AI をどのように活用できるかについて知識を高める必要があるでしょう。彼らは、効率の向上、ユーザーエクスペリエンスの向上、コンプライアンスの強化など、有形・無形のコスト削減を評価するために、AI 投資の ROI の徹底的な評価を求めるはずです」
– ビクター・ドミンゴス (Victor Domingos)、SAP Concur 社 CFO
今後も TMC の統合が進み、航空会社と出張者が NDC のメリットを享受する
「2024年に予測したTMCの統合は2025年も続くはずです。合併して規模が大きくなった TMC はより大きな影響力を行使することが予想され、TMC 間の交渉は難しくなるでしょう。TMC は、コストを分散させるためにより多くの取引が必要になり、技術投資の必要性が高まり続けます。これは、大規模言語モデル (LLM) を活用して運賃規則や出張ポリシーを読み込んだり、基本的な顧客メールに返信したりするといった AI のユースケースが実際に利益をもたらし始めると、特に顕著になるはずです」
「コンテンツの断片化の懸念は消えていませんが、2025年には熱狂は収まるでしょう。航空会社は、来年末までにパーソナライゼーション、バンドル、継続的な価格設定、コスト削減など、NDC (New Distribution Capability) の恩恵を段階的に受けるでしょう。また、完全統合型の出張・経費・ERP ソリューションのメリットを認識する企業も増えるはずです。完全な統合により、出張者、管理者、法務チーム、テクノロジーチーム、財務/会計チームの効率が向上します」
「ハイブリッドワークのトレンドは 2025 年も続くでしょう。その結果の 1 つとして、オフィス勤務に復帰する従業員が増え、通勤距離内で従業員の採用を検討する会社が増えるにつれて、仕事と休暇を兼ねた旅行の件数が減少する可能性があります。しかし、ミレニアル世代の中には企業の出張者だけでなく、意思決定者の立場に就く人も増えており、従業員の出張の柔軟性を重視する文化を築いた企業は、今後もそうした福利厚生を提供し続けるものと思われます」
– チャーリー・スルタン (Charlie Sultan)、SAP Concur 社 Concur Travel 担当プレジデント
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SAP Concur のリーダーが 2025 年に成長の促進やビジネスの加速を期待するこれらの展開には、共通点が 1 つあります。それは相互接続性です。C レベルの経営幹部全体のチームワークの実現にせよ、航空会社の NDC 採用によるパーソナライゼーションやコスト削減の強化にせよ、2025 年は相互接続性が出張・経費管理を推進するでしょう。
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このブログはSAP Concorによって公開されたブログを抄訳したものです。
