電子帳簿保存法・インボイス制度
法改正の適用開始!電子帳簿保存法にまるっと対応する方法をお伝えします。
2021年に抜本的な改正が行われた電子帳簿保存法。いよいよ2024年1月から法改正を反映した新しい要件の適用が始まりました。大きく緩和された要件が多い一方で、厳格化している要件もあります。今回は「改正内容をいまさら聞けず困っている」「実はまだ要件対応していない」という方に向けて、電子帳簿保存法の改正内容や満たすべき要件、そして最後にコンカーが提供するサービスを紹介します。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)とは、国税関係帳簿書類を電子化するための法律です。「電子化」と聞くと最近整備された法律のイメージをもつかもしれませんが、法令化されたのは25年以上前の1998年です。以前から法定書類の電子化は推進されてきましたが、規制が多く、なかなか進まない状況でした。しかし近年、急速に規制が緩和されて電子化を後押しする状況になっています。
電子帳簿保存法は、その名の通り書類データの保存方法について定めています。保存方法は大きく分けて「スキャナ保存」と「電子取引データ保存」の2区分があり、それぞれルールが定められています。改正内容をよく理解して実務に反映しましょう。
スキャナ保存
「スキャナ保存」では、紙で受領した国税関係帳簿書類の保存方法を定めています。この区分には数多くの要件がありましたが、2021年度に大きく改正され、およそ3分の2の要件が不要または緩和されました。適用の難易度が大きく下がったため、実務的に運用しやすくなりました。
電子取引データの保存
「電子取引データの保存」では、送受信した電子取引データの保存方法を定めています。「電子取引データ」とは、メールやクラウドサービス、Webサイトからのダウンロードなどの方法でやりとりする国税関係帳簿書類のことです。2020年度から毎年税制改正が重ねられ、流動的な状況が続いていたため、事業者側も対応がしにくい状況でした。
まず、2020年度の改正では、電子取引データがあれば、一定の条件下において、紙の書類の受領と保存が不要になりました。2021年度の改正では、電子受領した書類を紙で保存することを認めていたこれまでの要件を変更し、電子受領したすべての書類を電子保存するよう義務付けました。ただ、紙による保存は認めない急激な改正と感じる事業者も多く、対応が追い付かないという声もありました。そのような背景もあり、2023年12月31日までの宥恕期間が設けられていたのです。そして宥恕期間が終わった現在は、通常は「真実性の確保」と「可視性の確保」を満たして、電子取引データを管理する必要があります。ここからは、これらの要件について、解説します。
真実性の確保
「真実性の確保」とは、保存された電子取引データが削除・改ざんされることを防ぐためのデータ保存要件です。データ種別ごとに要件は異なり、「PDF・画像」「データ」の2種類があります。
1. PDF・画像の場合
PDFや画像の国税関係書類は、タイムスタンプの付与、もしくは社内規定の整備を通した保存が可能です。
タイムスタンプとは、特定の日時にそのデータが存在しており、それ以降に内容が変更されていないことを証明するものです。もう一方の社内規定とは、国税関係帳簿書類データの保存方法や削除・改ざん防止などの社内における事務処理方法を会社として定めたものです。タイムスタンプが使えない場合は規定整備によって対応することも認められていますが、責任者の設置や削除・変更時の手続き方法など、細かい要件を満たしたルールを自ら定める必要があります。また、規定が適切に運用されているかチェックする体制整備も必要になるでしょう。
2. データの場合
タイムスタンプの付与が難しい電子情報もあります。電子帳簿保存法ではこれらの「データ」についても保存要件を定めており、改ざんを防止するとともに、削除・修正の履歴を残すシステムの運用を求めています。
可視性の確保
電子データの保存要件の2つ目が「可視性の確保」です。具体的には「見読可能装置の備え付け」と「検索要件の充足」の2つに対応する必要があります。
1. 見読可能装置の備え付け
「見読可能装置」と聞くと敷居が高く感じられるかもしれませんが、難しくはありません。見読可能装置とは、電子保存されたデータを閲覧するための機器のことです。具体的にはパソコンやディスプレイ、プリンターなどであり、通常の執務環境であれば設置されているはずなので、特別な対応は必要ない場合がほとんどでしょう。
2. 検索要件の充足
いくらルールに則ってデータを保存したとしても、必要な時に引き出して確認できなければ意味がありません。可視性を確保するために定められているのが「検索要件」です。3つの検索項目「日付」「支払先」「金額」を検索できるようにすることが必須となっています。つまり、データを保存する時は少なくともこの3項目を管理する必要があるということです。加えて「日付」「金額」で範囲設定ができ、かつ2つ以上の項目を組み合わせて検索ができること、もしくはダウンロードの求めに応じることができるなどの体制を整えることで、検索要件を満たしたと認められます。
システム導入による電子帳簿保存法への対応
ここまで、税制改正によって新しい要件に対応した電子取引データの管理が必要になることを説明してきました。電子帳簿保存法に対応したシステムを導入することで、人的なミスを防ぎ、堅実な管理が可能になります。SAP Concurは、DenHo と 提携して、それぞれの強みを組み合わせたサービスを提供します。新要件への対応はもちろん、経費購買業務をワンストップで網羅的にデジタル化できます。電子帳簿保存法への対応を契機に、業務の効率化・生産性の向上を進められます。
電子保存クラウドサービス「DenHo」とは
DenHoとは、見積書・注文書・納品書・請求書などの電子ファイルを電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存するクラウドサービスです。保存だけではなく、検索要件で定められた項目などの必要情報を自動で読み取るため、入力作業を省けます。また、システムで読み取った情報はテキスト化されてデータベースに保管されるため、散在しがちな国税関連帳簿が豊富な検索機能によって見つけやすくなります。
簡単な保存機能
DenHoの特徴の1つは保存作業のシンプルさです。受領したデータはドラッグ&ドロップでアップロードできるため、ファイルサーバーへの保存と同じ感覚で作業できます。紙で受領した書類の場合はスキャナで電子化してアップロードも可能ですが、スマートフォンで撮影してアップロードすることも可能です。
使いやすい検索・閲覧機能
DenHoでは請求書・見積書など、書類の種類ごとにタグ検索ができます。タグ付けはアップロードと同時に自動で行われるため、設定作業は必要ありません。また、タグを任意で設定し、自社の書類管理のルールを反映することも可能です。書類の内容はAI-OCR機能によって全文テキスト化され、ファイル名でしか検索できないファイルサーバーよりも高い検索性能が備わっているため、電子帳簿保存法が定める項目に限らず、自由に全文検索して目的の書類を探せます。また、書類はサムネイル表示され、直感的に見やすいものになっています。
Concur Invoiceと連携し支払処理を効率化
ファイル保存システムと経費精算システムが違う場合、通常はファイル保存システムからデータをダウンロードした後に、経費精算システムにアップロードしなければなりません。しかし、SAP ConcurとDenHoが連携したソリューション「Invoice PA+」を利用すれば、面倒な作業は必要ありません。
DenHoが読み取った請求書情報はConcur Invoiceに連携されます。DenHoのOCR機能が支払先や金額などの情報を自動で読み取っているため、Concur Invoiceで必要情報を手入力する手間を省くことが可能です。電子帳簿保存法への対応だけでなく、精算処理の効率化に貢献します。
経費精算システム「Concur Invoice」とは
oncur Invoiceは請求書処理におけるさまざまな課題の解決に貢献するクラウドサービスです。システムへの手入力の手間、目視による内容チェックの手間、紙の回覧による時間の膨張、予実対比の煩雑さ、書類保存の手間、支払金額の集計など、さまざまな業務をシステムが担うことで、経理部門の負担を軽減します。
各種媒体を受領可能
Concur Invoiceは紙やPDF、電子請求書の国際規格であるPeppol(Pan European Public Procurement Online)など、多様な受領媒体に対応しています。また、さまざまな形式の書類をOCR機能で読み取って同じフローで請求書処理が行えるため、請求書ごとに個別の対応をする必要はありません。
新しい法制度に対応
Concurはインボイス制度などのさまざまな法改正の動きをいち早く捉え、速やかにシステム開発して追随していきます。「法改正にどう対応しようか」といった悩みに対して解決策を提示し、定期的な法改正チェックや、改正内容の解釈検討、実務担当者への入念な教育などの業務が軽減されます。
生産性&ガバナンス向上
たとえば、チェックポイントを増やすほど生産性が下がるといわれるように、生産性とガバナンス向上の2つを両立させるのは一般的に難しいと考えられています。Concur Invoiceは自動チェックやモバイル対応、分析ツールによる見える化など、豊富な機能を通してバランスを保ったまま請求書処理体制を構築し、円滑な業務運用を可能にします。
最後に
電子帳簿保存法の目的は、DX化により企業が業務を効率化しやすい環境を整備することです。新しいデータ保存要件への対応だけを考えると面倒に感じるかもしれませんが、ITを活用すれば自分たちの負担を軽減し、生産性を高められるプラスの面もあります。法改正を良い機会と捉えて、システムの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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