出張・経費管理トレンド
電子インボイスを実現する、請求書の標準規格「Peppol(ペポル)」とメリット②
前回は、電子インボイスの日本標準仕様(日本版Peppol)の検討背景や今後の展開予定についてご紹介しました。
第1回はこちら
第2回では、活用することでどのように業務が変わるのか、そして実際の事例等について触れたいと思います。
電子インボイス活用の効果
日本標準仕様(日本版Peppol)に準拠したシステムを活用すると、請求書業務は今までの紙処理から、電子インボイス処理となり、企業にどんな効果をもたらすのか?
業務へのインパクトと効果は大きく4つあります。
「請求書のデジタル化への負担軽減」
「紙に起因する業務負荷の軽減・自動化」
「デジタル化によるガバナンス強化」
「リモートワークの実現」
です。
それぞれを詳細にしたものが下図となります。
電子インボイス導入で、業務効率化やガバナンス強化が期待できることがわかります。また、日本版Peppolに準拠したシステムを活用することで、企業間でシステムが異なるために何らかの人的作業やシステム改修が必要といったことがなくなります。
電子インボイスの送受信内容はそれぞれの企業の請求書システムに直接取り込めるので、業務の進め方を抜本的に改革することができます。紙処理の業務がなくなるため、リモートワークやテレワークを促進でき、現場の担当者の働き方も大きく変わり、単なるシステム利用にとどまらない効果が見込めます。
電子インボイスの活用に必要なこととは
では、電子インボイスを活用した請求書業務に移行するには、どんなチャレンジがあるのでしょうか?
コンカーにも「今後電子インボイスを活用したい」「請求書の電子化したい」という声を数多くいただきます。私たちからお答えすることは「システム導入だけ進めても業務効率化、ガバナンス強化にはつながりにくい」ということです。
今後は、自社だけの固有システムややり方にこだわるのではなく、日本版Peppolに準拠したシステム利用で、自社だけでなく、企業間で電子インボイスのやり取りを可能にする環境に進化させていく必要があると思います。こういった今までとは違うシステムの利用を行うためには、社内の意識改革・業務改革を同時並行で行えるか?も重要です。これがシステムの導入だけにしてしまわないためのチャレンジポイントだと考えます。
電子インボイス推進協議会(EIPA)や国は、電子インボイスの日本標準仕様(日本版Peppol)を策定するだけではなく、電子インボイス自体が浸透、普及させる施策、例えば活用企業に対する何らかのインセンティブを国が設計し、企業が負担なく移行できる仕組みづくりなどを検討する必要があります。
また、SAP Concurのように請求書システムを提供するベンダー側も、EIPAが定める日本標準仕様に適用するために、提供するシステムへの改修が必要になりそうです。
SAP Concur内でのPeppol活用事例
最後にSAP ConcurでのPeppol活用事例を見てみたいと思います。
SAP Concurはグローバルで展開されているソリューションです。すでに海外ではPeppol規格の電子インボイスとの連携事例があります。例えば、オーストラリア、ニュージーランドではPeppol対応のアプリケーション連携パートナー(App Center)でPeppol+Xaanaがあります。
仕組みとしては、サプライヤーのアクセスポイントから、Concur InvoiceパートナーソリューションのXaanaのアクセスポイントに電子インボイスが送信され、そこでPeppolの仕様に変換後、Concur Invoiceへ送信、受信者はConcur Invoice内で請求書データを処理できる、というものです。この連携により、Concur Invoiceのユーザーは電子インボイスで請求書処理を完了することができます。
まとめ
さて、2回にわたり、電子インボイスの日本標準仕様(日本版Peppol)に関連した内容をご紹しました。
電子インボイスの活用は未来の話、ではなく、2023年からのインボイス制度(もう2年切っています!)を見据えた取り組みとして、国、行政、ITベンダーでの検討が進んでいます。2021年度中には、いよいよデジタル庁も発足し、さらにこの流れが本格化していきます。
一方で、メールで手紙がなくならないように、すべての紙の請求書がなくなるということも実際には現実的ではないかもしれません。SAP Concurでは紙の請求書やその他の請求書データ取り込みについてもしっかりとしたソリューションを取り揃え、包括的・理想的なオペレーション構築のお手伝いをしたいと思っています。お客様の請求書業務のDX推進を強力にお手伝いできるのは、Peppolなどを含め請求書業務全般に精通したコンカーならではだと思います。
自分の会社が日本版Peppolをサポートしたシステムを導入したら、自分の業務はどんな風に変わり、どんなメリットがあるのか?ぜひ、一緒に考えてみませんか。
【執筆協力】Concur Invoiceスペシャリスト
八角 晴奈
Concur Invoiceのソリューション推進担当。請求書業務のDXを通じたバックオフィスの方々の働き方改革に向けて、部門横断で構成された推進チームをリード。
岡部 圭悟
製品チームでConcur Invoiceのプロダクトマネージャーを担当。グローバルチームと協業し、日本市場に必要な製品の機能強化やローカライズを推進。
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