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イベント満足度は驚異の100%!フジシール様、村田製作所様もご登壇した「SAP Concur大阪懇談会」イベントレポート
2024年5月21日、32社49名の皆様をお招きし「SAP Concur 大阪懇談会」を開催いたしました。当日は株式会社フジシール様、株式会社村田製作所様にご講演をいただいた後、座談会、懇親会を実施させていただきました。
本レポートではフジシール様のご講演内容を中心に、イベント後アンケートで満足度100%と回答いただいたイベントの模様をお伝えします!
まずは株式会社コンカー ヴァイスプレジデント 堀井成巳よりご挨拶をさせていただき、開会した。
「ここにお集まりの皆様は、経理処理・経費マネジメントをより良くしていきたいとお考えの方が多いかと思います。経費領域は業界特性が少ない、非コア業務です。ぜひ今回を情報交換の場とし、皆様の業務に活かしていただければと思います。コンカーとしてもしっかりご支援させていただき、有意義な時間にしていければと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします」
フジシール様 SAP Concur導入事例講演
続いて、株式会社フジシール(以下、フジシール)様より事例講演を行なっていただいた。フジシールは、グローバルで事業を展開する、パッケージング・シュリンクラベルのリーディングカンパニーだ。「変化とともに変化する」という行動指針を掲げる通り、1897年の創業から今まで、時代の変化を柔軟に取り入れて事業を拡大している。
SAP Concurの導入プロジェクトは2020年5月に開始され、Concur Expense(経費精算クラウド)を同年11月に、Concur Travel(出張管理クラウド)を翌年3月に稼働させた。今回は取締役(財務・経理担当)兼 新規事業推進室室長の圓尾裕昭様より、導入までの課題から今後の展開まで、余すところなく語っていただいた。
デジタルネイティブが推進する、DXのシンボル
SAP Concur導入前の状況について、圓尾氏は
「導入前はたくさんのシステムが個別に動いている状況でした。経費精算システムはスクラッチで、オフィスに出社して処理することが前提のもの。紙の証憑、ハンコの処理などが残っていました」
と語る。
コロナ禍以前は海外出張の件数も多く、手配から精算まで、多くの人手がかかっている状況でもあった。エクセルの精算書を作り、レートの計算もして提出するので、どうしても間違いやすく、経理部門からの差し戻しも多かったという。そこで検討を開始し、さまざまなシステムを調べたそうだが、
「当時、2,000名を超える企業に対する経費精算システムはあまりありませんでした。その中で、コンカーは業界をリードし、大企業での導入実績も圧倒的でした。加えて、海外出張なども含めた処理ができるもの、多言語多通貨の対応ができるのはコンカーだけ」
と感じ、SAP Concurの採用を決めた。
こういったシステム入替の場合、ありがちなのが「現状を踏襲しつつ、生産性を向上させるよう努める」パターンだ。だがフジシールでは「単なる経費精算システムの入替ではなく、間接業務そのものを抜本的に変え、経営基盤の強化を図る」と目的を定め、経費管理システムの入替に着手した。
「SAP Concur導入前、2019年ごろからDX推進の社内方針が出ていました。そこでまずDXの基盤整備としてMicrosoft Office365を導入。その次にSAP Concurを導入したのですが、トップの号令の元、デジタルネイティブと言われる若手世代を推進役として進めました。SAP Concurは全社員が使うものでもあり、DXの良さを社員全員が実感し、DXに対する抵抗感をなくすシンボリックなシステムとして導入に至ったという背景があります。経費精算システムの入替にあたって、現場からもユーザーにとって利便性の高いものにしたいという要望がありましたが、そういった生産性改善の課題を解決するだけでなく、効果を最大化させる意味で、現状の業務を疑い、抜本的に見直してガバナンスの強化と標準化が両立できる経費精算システムとして導入したのです」
実際の導入にあたっては、日本IBMの支援を受けた。日本IBMのSAP Concurに関する知見の豊富さもあり、2020年5月にキックオフ後、11月にはConcur Expenseを稼働させることができた。Concur Travelはコロナ禍で出張件数が減っていたこともあり少し遅れはしたものの、2021年3月には稼働を迎えている。キックオフからおよそ半年というスピード感を持って稼働できた理由として、圓尾氏は以下のように述べた。
「繰り返しにはなりますが、若手メンバー(デジタルネイティブ)を推進役としたこと。デジタルに抵抗感の薄いメンバーを中心にすることで、スムーズに進んだと思います。また、これまでのシステム入替ではなく、会社としてのあるべき姿を目指して規程を変えるなど、トップの強いリーダーシップがあったことも要因だと思います」
工数削減率58%!Auditサービスの活用で精神的負担も軽減
稼働後、もうすぐで丸4年を迎えるフジシール。稼働直後は当然混乱もあったというが、現在はどうなっているのか。
「4,500時間を超える削減時間、工数削減率も58%と、かなりの効果が出ています。稼働直後の混乱も、デジタルネイティブを各事業所に配置し、マニュアル整備することで3ヶ月目には問い合わせもほぼなくなりました」
Concur Travel&Expenseだけでなく、関連するサービスもいくつかご採用いただいたが、その効果もお話しいただいた。一つが、Tap to Expense(交通系ICカードの連携サービス)。コロナ禍ということもあり、それまで定期代を月額支給していたのを出社ごとの都度精算に変更していたが、スマートフォン上で交通費を連携できるこのサービスにより、電車代・バス代の精算が容易になった。
また、SAP Concurモバイルアプリを活用していつでもどこでも申請・承認が可能な環境にしたほか、コーポレートカードの活用も開始し、全SAP Concurユーザーに会社決済型のカードを配布している。これまで毎週、現金で払い戻されていた経費精算を、月に2回にすることにした分、従業員の立替負担が増えてしまうことが懸念されたが、極力コーポレートカードを利用する運用としたことでそういった懸念を払拭したのだ。
「データの連携スピードは利用店によるので、まれに遅れて連携されることもあります。また、経費精算されないままのデータが溜まってしまうこともあり、周知が必要なこともあります。ですが、カード利用情報がそのまま連携されるため金額等の入力ミスが起きず、入力工数・承認工数の削減にも効果を発揮しています」
そして、圓尾氏が特に強調したのはAuditサービス(経費精算の監査サービス)である。
「Auditサービスからは離れられないですね。チェックが厳格化されることで誤申請が減り、差し戻し件数が大幅に削減できています。申請者と承認者の間に入って、第三者がきちんとみてくれることによる承認者の負荷軽減・心理的な安心感という効果もありますし、不正抑止効果もあると思います」
とその効果を語った。
最後に、今後の展望をお話しいただいた。
「SAP Concur導入以降、半日以上システムが止まったのは記憶の限り一度きりですし、スムーズに運用できていると感じます。コロナ禍だったこともあり、経費の分析などはこれからの部分もありますので、引き続きより良い活用を目指していきたいです。また、海外出張そのものは減っていますが、国内出張は戻ってきました。海外出張の部分はConcur Travelで手配からできるようになりましたが、国内出張はまだ個別手配になっています。ここを、JTB-CWT TripLinkとConcur Expenseを組み合わせることで一気通貫にしていきたいと考えています。また、将来的にはグローバルグループ企業への展開も検討しています」
村田製作所様の事例講演
フジシール様の講演の後、株式会社村田製作所 コーポレート本部 ESG・HR統括部 総務部総務課 マネージャー鈴木 智博様からも「SAP Concur導入事例紹介〜プロジェクトを通じて進めた働き方改革」というテーマでご講演いただいた。
株式会社村田製作所(以下、村田製作所)は1944年に創業した総合電子部品メーカーであり、高いシェアを誇る。グローバルで事業を展開し、国内外に84社のグループ会社を持っているが、SAP Concurの導入は、このうち国内30社、3万3千人を対象にしている。
詳細は割愛するが、当日は、企業としてのありたい姿を実現するためにどのようにSAP Concurを活用しているのか、働き方改革にどのように寄与したのか、問い合わせを減らす秘訣としてWalkMe(デジタルアダプションサービス)の活用など、課題や現状も含めて余すところなくお話しいただいた。
フジシール様、村田製作所様との座談会
その後始まった第二部では、ご講演いただいたフジシール様、村田製作所様を中心とした座談会を開催した。モデレーターをコンカーの柳と工が務め、テーマは「経費精算のない世界」。
経費精算のない世界を目指すには
経費精算のない世界とはどのようなものなのか、どうやって目指していくのかをテーマに始まった座談会では、まず参加者の皆様に「興味のある“レス”、一番取り組みたい”レス”」をQRコードを読み取ってもらう形式でお答えいただいた。
一番回答として多かったのは「承認レス」。これは、現金払いの経費利用・手入力での申請を主としているとなかなか実現が難しい。そこで、承認レスを実現する前提となる、「キャッシュレス・入力レス」についてお話しさせていただいた。
フジシールでは、講演でもお話しいただいた通り、会社決済型のコーポレートカードを導入している。そこで、導入の理由、反対意見がなかったかを伺った。
「カードへの変なアレルギーというか、抵抗感を示す声は社内でもありましたが、仮払い、小口現金をなくすためにも必要不可欠と考えました。カードの不正利用リスクというのも当然ありますが、現金を扱うリスクとどちらが高いか、という会社判断だと思います」
対して村田製作所では、コーポレートカードの導入は今後の課題である。
「経費の中でも高額になりがちな旅費に関しては請求書払いで旅行代理店から会社に請求されます。そうすると、コーポレートカードの利用はタクシーとか、少額の利用のものに限られます。自己手配を脱却し、旅行代理店への集約を進めながら、コーポレートカードの利用シーンを模索中です」
ご参加のお客様からは「個人口座決済型のコーポレートカードを希望者に渡している。会社決済にしないのは、未精算のリスクを減らすため」「会社決済型で進めている。利用率も割と高いが、国家資格取得のための費用など、現金しか使えない場面もある」など、さまざまな声が上がった。
承認レスが可能な条件とは
次のテーマは、承認レスがどのくらい進んでいるかについて。先ほどと同様、参加の皆様にQRコードを読み込んでいただいて回答いただいた。
SAP Concurを導入ずみ、または検討しているお客様は、検討の中で承認フローの簡素化を考えられるお客様がほとんどだ。それは「承認レス」の第一歩でもある。コンカー自身は、接待や海外出張以外のほとんど全ての事前承認をなくし、通常の経費であればアラートが出ない限り、上長を経由することすらなく経費を払い戻す「承認レス」を実現している。
その懸念についても参加の皆様からお話を伺った。
「交通費については、上司のチェックは通るものの、経理のチェックはなしで払い戻している。大丈夫なのかという声はあったが、事後のデータチェックを説明した」という声などがあった。
また、こういった事後のデータチェックや承認レスを進めることについて、社員に説明をしたのか?という質問も上がり、承認レスを進めている企業から「社員に説明をしてから実行した」など、回答をいただいた。
登壇の2社にもお伺いした。フジシールは
「経理出身ということもあり、承認レスにはかなり怖さがある。また、会社の文化もあるのでまだ今のところは、上層部にも通りにくいのではと思います」
と答えられ、村田製作所からは
「まだまだですが、SAP Concur導入前後で承認レスに近づいた部分はあります。出張については3階層でチェックをしていましたが、二重精算のチェックなどはSAP Concur上でも可能ですし、ここは見なくてもいいよね、ということで階層を減らすことに取り組んでいます」
とお話しいただいた。
承認レスは、しっかり統制が担保されている前提があって進めることができる、その上で達成できる概念である。これは、SAP Concurの今後の機能強化や世の中の潮流が変わるなど、さまざまな要素が必要となる。コンカーとしてはここに立ち向かっていきたいと考えていることをお伝えし、座談会を締め括った。
まとめ〜「大阪懇談会」を開催して
久しぶりのオンサイト開催となった本イベント。座談会はもう一つテーマを用意していたのだが、そこまでの内容が非常に盛り上がり、時間の関係もあって割愛するほどだった。また座談会の後は懇親会を開催し、こちらもたくさんの方々にご参加いただいた。懇親会は2社のご講演、座談会での内容を元に、ご参加の皆様で活発な情報交換をしていただける場となり、大変盛況の中閉会した。
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ご講演いただいた圓尾様、鈴木様、ご参加いただいた皆様、当日は本当にありがとうございました。
コンカーではこのようなイベントを今後も開催してまいります。気になる点がありましたらぜひお問い合わせください!