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日本市場にあった組織モデルで新しいビジネスを立ち上げる。サンブリッジがコンカーに投資する意味

Taku Kakino |

「コンカーは外資系企業には感じられない日本っぽい雰囲気がありますよね?」とよく言われることがあります。その理由の一つに米国本社に加え、日本の投資会社から出資を受ける「ジョイント・ベンチャー」という組織モデルにあるのかもしれません。あまり耳にしないジョイントベンチャーや日本のIT市場、そしてコンカーへの思いなど、株式会社サンブリッジのアレン・マイナーさんにお話をお伺いしました。


 

米国企業と日本企業をいいとこどり、日本市場で短期間で新規事業を立ち上げる。

 

  ーー まず、サンブリッジの会社概要と業務内容を教えてください。

アレン:1999年に創業したサンブリッジは日本市場でビジネスを行うベンチャー企業に様々なサービスを提供しています。製品やテクノロジーに秀でたベンチャー企業にはマーケティング・営業支援サービスを提供し、また、その逆の場合は必要な技術支援を行なっています。

2000年には資金提供を含めたベンチャー企業の設立支援や人材育成の拠点として「サンブリッジ・ベンチャーハビタット」を民間で初めて設立、現在、100社以上のベンチャー企業に投資活動を行っています

  ーー サンブリッジは日本のベンチャーだけではなく、米国ITベンチャーの日本進出にも積極的ですが、米国ITベンチャーが日本市場に進出する際、重要なポイントとして感じる点はどこですか?

アレン:現在、コンカーをはじめ、マーケティングオートメーション「マルケト」、人材管理クラウド「タレンタ」、資金管理クラウド「キリバ」などに出資、ジョイントベンチャーとして経営支援を行なっています。

米国ITベンチャーが海外進出を検討する際、日本市場は大変魅力的です。ただ、言語だけでなく、法律や商習慣の違いもあり、実際の進出には困難が伴います。米国本社100%出資の子会社の場合、日本法人の代表を実務力よりも英語力で採用し、米国の成功体験をそのまま持ち込んで失敗するケースや、逆に、日本企業と販売代理店契約を締結、ビジネスが立ち上がるも米国本社のコントロールが効かない状況となり、結果的に失敗するケースも頻発しています。

私たちは日本市場でのビジネス立ち上げは日本市場を十分に理解した能力のある、日本人が主導して立ち上げるべきだと考えています。ベストな社長人材の選定から必要な経営資源の提供、そして、社長と実際に伴走し、米国本社に直接交渉しにくい課題や要求に関しても、出資者という立場から日本市場に意味のある意見やアドバイスを行ない、事業立ち上げの成功確率を上げる努力をしています。

  ーー なるほど、米国企業と日本企業のいいとこ取りをして、短期間に事業を立ち上げるモデルがジョイントベンチャーであり、サンブリッジということですね。

アレン:その通りです。私は経営自体があまり得意ではありません(苦笑)が、日本法人を率いる日本人社長を見極める能力には自信があります。実は現在、コンカーの代表を務める三村さんとの出会いは、彼自身のベンチャー企業の立ち上げ相談でした。当時、彼が考えていたビジネスモデルは秀逸で、すでにサービス自体も出来上がっていた状態でしたので、出資を前向きに検討していました。ところが、次のミーティングの場で、彼は開口一番このビジネスを止めると言いだしました。大変驚き、その理由を聞くと、日本で一般的に利用されている技術の切り替えスピードが予想以上に遅く、これ以上やっても速やかに事業は立ち上がらないとの返答でした。

事業を立ち上げる際の戦略性と行動力、そして、潔い撤退判断、これらのセンスは私が社長として、もっとも期待している素養でしたので、その場でコンカーの代表をオファーしました。正式に引き受けてくれると連絡が来た時は本当にホッとしたのを覚えています。

 

成長にあった組織形態と人材が重要。コンカーの成長スピードは世界一です。

 

  ーー 人の出会いには常にドラマがありますね。社長の素養という話がありましたが、立ち上げ時期、売上拡大期、安定成長期では求められる社長の素養は異なると思いますが、いかがですか?

アレン:そうですね。企業の成長段階に応じた人材は成功のための重要な要素だと思います。

サンブリッジはセールスフォース・ドットコムが2000年に日本市場への参入を決めた時も、出資者としてジョイントベンチャー方式で事業立ち上げを行いました(2010年10月に米国salesforce.com社へ売却)。事業の立ち上げ期は日本市場の調査、事業開発、マーケティング、法務、製品の日本対応など、安心して売れる体制を整備できる人材が適切ですし、仕組みが整備できた後は実際にビジネスで結果の出せる人材が適切です。

セールスフォース・ドットコムの場合は、製品の日本への対応や顧客開拓などの事業基盤の整備ができる人材と、中長期に渡り事業を成長させ続ける経営ができる人材、それぞれの成長過程に合った二人の社長人材の適切なマネジメントにより、日本での事業が立ち上がったように思います。

コンカーの場合、すでに事業基盤の確立から事業の急成長期に入り始めていますが、現在のマネジメントメンバーならこのままの体制で急速な成長ができると思っています。実際、コンカーは全世界市場で日本が最も早いペースで成長していますし、日本市場でもジョイントベンチャーだった当時のセールスフォース・ドットコムよりも早いペースで事業拡大に成功しています

 

社長のリーダーシップと社員全員のクリエイティビティーがコンカーの成長を後押しする。

 

  ーー 投資家から見て、なぜコンカーが急速な成長を遂げていると思いますか?

アレン:まず、三村さんの戦略性と行動力だと思います。彼は事業を立ち上げる上で課題を整理し、要素分解を行い、必要なタスクに落とし込みチームを動かしていくリーダーシップがありますし、社員が協力して働く文化や社風作りといった測りにくい要素に対する重要性も認識しています。

それから働く社員皆さんのクリエイティビティーですね。コンカーは飲食店予約サービスや名刺管理サービス、タクシー配車サービスなどと接続して、誰もが面倒くさい、やりたくないと思っている経費精算という業務に光を当て、様々なサービスと連携させることで、新しい経済圏を構築するにまで至っています。このような成果は社員の創意工夫、クリエイティビティーがなければ、到底実現できるものではありません。立ち上がって6年ほどの米国生まれの日本法人がすでに3,000億円以上の経費を処理する事業をしているなんてすごいことだと思いませんか?

  ーー ありがとうございます。もっと頑張って投資家の皆様の期待に応えていきたいと思います(笑)。最後に私を含めて、株式会社コンカーの社員への期待を込めてメッセージをお願いします。

アレン:とにかく、今のままで、変わらないで欲しいと思います(笑)いい社長、いい社員、いい文化、クリエイティブで活気あるいい会社。働きがいのある会社に3年連続で選ばれるコンカーには理由があります。私からできるコメントなんてありません。是非、このままのペースでお客様の業務のクラウド化を進め、日本企業の競争優位性の確保に貢献して欲しいと思います。

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営業として入社1年目にして、年度の目標を早々に達成したという井上直紀(いのうえなおき)。お客さまに役立つプランを考え抜き、わかりやすく伝えるために、資料の一行から会話の一言一句までを徹底的にこだわるという姿勢には、熱意あふれる営業スピリットが感じられます。
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