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【イベントレポート】鉄道業界情報交換会 in Fukuoka

SAP Concur Japan |

2024年8月1日に「鉄道業界情報交換会 in 福岡」(主催:株式会社コンカー)を開催し、9社23名様にご参加いただきました。当日は、ご参加いただいた株式会社阪急阪神ビジネスアソシエイト様、アイテック阪急阪神株式会社様、名古屋鉄道株式会社様、近畿日本鉄道株式会社様、近鉄グループホールディングス株式会社様、西日本鉄道株式会社様、東急株式会社様、株式会社西武ホールディングス様、九州旅客鉄道株式会社様にて、活発な意見交換を行いました。本ブログ記事では当日の様子をご紹介します。

 

【冒頭挨拶】SAP Concurに限らず幅広く意見交換できる場にしたい

【冒頭挨拶】SAP Concurに限らず幅広く意見交換できる場にしたい

 

冒頭、株式会社コンカー 営業統括本部コマーシャル営業本部長 兼 カスタマーセールス本部長 簗瀬 太祐   より開会挨拶を述べました。
今回の福岡開催は東京、大阪に続く3回目の情報交換会であること、情報交換に重きを置いた会であること、SAP Concurに限定せず、各社様の関心があるテーマを事前に募り、幅広い情報交換ができるよう、2部制のプログラムにしていることを説明しました。
 

【自己紹介】本日持ち帰りたい課題について

【自己紹介】本日持ち帰りたい課題について

 

ご参加企業様より、一言ご挨拶と本日持ち帰りたい課題をお話いただきました。各社様のご発言内容をご紹介いたします。

(西武ホールディングス様)
3年前、経費精算に特化した使い勝手のよいシステムとしてSAP Concurを導入しました。本日は承認レスの方法について示唆を得たいと考えています。

(九州旅客鉄道様)
SAP Concurは導入して5年目になります。本日は皆様と懇親を図りつつ、承認レスや照合業務の効率化、鉄道事業者として共通の悩みについて意見交換したいです。

(阪急阪神ビジネスアソシエイト様)
SAP Concurを導入したばかりの状況です。導入や運用の効率化について、本日は皆様の経験談やご意見を伺って役立てていきたいと思います。

(近鉄グループホールディングス様)
SAP Concurは導入していませんが、近い将来に経費精算システムの導入を検討しています。導入するシステムはグループ各社で個別最適がいいのか、グループ全体で一律がいいのか、考えるヒントを得たいと考えています。

(東急様)
グループ内18社がSAP Concurを利用していて、まだ増える見通しです。生成AIによる自己解決、ペーパーレス化や部門問い合わせのワークフロー化が今後の課題で、皆様との意見交換を課題解決に生かしていきたいと思います。

(西日本鉄道様)
SAP Concurは去年8月に導入したばかりです。関東・関西の鉄道会社さんと意見交換する機会は少ないので、楽しみにしてきました。同業の皆様の活用事例等伺えればと思っております。

(名古屋鉄道様)
SAP Concurは導入していませんが、会計システムの更新を予定しています。SAP Concurについても詳しく知りたいのと、導入している会社様から貴重なお話を伺うために参加しました。

【意見交換 第1部】経費精算業務の各社改善の取り組みについて

【意見交換 第1部】経費精算業務の各社改善の取り組みについて

 

鉄道運輸業界における経費精算業務をテーマに分けて、各社様の取り組み状況と抱えている課題について意見交換を行い、大変活発な場となりました。各社様のご説明内容をご紹介します。

1. キャッシュレスはどう推進しているか

(近鉄グループホールディングス様)
原則クレジットカードによる支払いを禁止している状況で、キャッシュレスは進んでいません。クレジットカード決済は個人にポイントが付くため、社内でも反対意見が多くあります。

(阪急阪神ビジネスアソシエイト様)
当グループでは、SAP Concurの導入と同時に法人カードも導入しました。法人カードの利用率は、グループ内でも会社や部署によって濃淡がある状況です。法人カードであれば個人にポイントが付くこともないので、ポイントが課題に挙がることはありませんでした。理解を得やすかったと感じています。今後、法人カードの積極活用により、できる限り現金の取り扱い量を減らしていく方針です。

(西日本鉄道様)
キャッシュレスはなかなか進んでいない状況です。現金の取り扱いを無くしたい所ですが、社内合意に苦戦しています。現在は、出張における立替負担を軽減すべく、グループ内旅行会社の出張手配データをSAP Concurに連携できるよう構築中です。

(東急様)
当グループの場合は、自社ブランドである東急カードをSAP Concurと自動連携できるように開発しました。東急電鉄では、コーポレート部門は全社員、事業部門は課長補佐以上と、濃淡つけて配布しています。

ちなみに、法人カードを社員に持たせることに対して「不正に使用されないか」という意見をもつ人は多いと思います。しかし不正利用は法人カード特有のものではなく、現金決済だとしても起きうることだと考えています。グループ内では「そもそも今までは完璧でしたっけ。不正を防げるほどチェックできてましたっけ」「もともと不正リスクはあり、法人カードだからリスクが大きくなるということではないんです」ということは伝えてきました。 

(西武ホールディングス様)
西武ホールディングスは全社員に法人カードを配布しています。グループ内の各社では持たせる範囲は各社で決めていて、基本現金精算しない前提で法人カードを渡すようにしているので、法人カードの普及と一緒に現金の取り扱いは減りました。

(九州旅客鉄道様)  
小口現金を法人カード導入のタイミングですべてなくしました。内部統制の面でも意義深かったと考えています。

2. グループ展開推進で何を工夫したか

(阪急阪神ビジネスアソシエイト様)
阪急電鉄や阪神電気鉄道など、子会社が多い親会社から導入実績を作るようにしました。親会社の導入により、子会社が追随しやすくなる効果を狙いました。

(東急様)
SAP Concurを導入しているグループ会社の情報を定期的に社内発信していて、自ら手を上げてくれる会社を募っています。

(名古屋鉄道様)
中核会社10社を集めて、システムのデモを見ながら意見交換をしていこうとしています。グループ全体としてシステム改修には前向きな姿勢をいただけると思っていますが、要件定義のプロセスでは、さまざまな意見が出ることが想定され、それらの意見をどのようにまとめるかが課題になると考えています。

(西武ホールディングス様)  
意見集約という面では、必ずグループ各社とのギャップは生まれると思います。当グループでは「これがベストだ」というものを各社に提案し、「どうやったらギャップを埋められるのか」を聞きました。提案していただいた意見に対応する形で補正できるところは補正し、それを許容してもらうプロセスでした。
そうしたプロセスを経て、2年半で国内40社に導入しました。プロジェクトを立ち上げるタイミングで経理以外の部門を巻き込んだのは、うまくいったポイントだと思います。経理部門だけでなく、情報システム、人事、管理部長が入った意思決定組織を作りました。経理だけでシステムの要件定義しなかったことで、グループ展開がスムーズに進められました。

(近鉄グループホールディングス様)
当社の場合は、かつて、各社システムバラバラになっていたことで、経理品質が保たれなかったり、ID管理が不十分だったりしました。これらが、経理システムのグループ展開の起点、そして支払い業務をグループで一元化する原動力になっています。

3. 承認レス・デジタルガバナンスはどのようにしているか

(九州旅客鉄道様)
承認レスはまだ実現できていません。上長承認後にシェアード会社に業務を委託しており、科目や金額、領収書照合などしている2段階承認が現状です。膨大な件数を人間が確認しているので、効率化する余地が大きいと感じています。

(西武ホールディングス様)
SAP Concurを導入したタイミングで承認作業は原則1名のみでやっていて、飲食など特定の場合に限定して承認は2段階です。経理は個別には見ない前提でデータを活用して検証するようにしています。承認レスは入力レス・統制の仕組みとセットだと考えているので、今は、ユーザーの入力レスを推進できる様、ICCI(IC Card Integration Service:交通系ICカードの利用履歴が経理システムに自動連携されるサービス)の導入を進めているところです。  

(東急様)
承認はBIに委ねることにして、経理承認はなくしました。
しかし上司承認は現時点では、「なくせない」と考えています。理由は上司承認作業が不正チェックだけでなく、部下の労務管理も担っているからです。当グループの場合は現在上司がしっかりチェックしており、差し戻しもよく発生するなど、しっかり機能しています。したがって、新しい機能や考え方が充実してきてはじめて代替できると考えています。たとえばAIで部下の行動や支払先と経費精算内容を照合して、「これは怪しくないか」「こういうお店であれば、これくらいの金額が適切ではないか」とかを注意喚起してくれる機能があると代替できるかもしれません。

4. 生成AIを用いた不正予兆検知サービスについて

ここで東急様よりAIによる承認レスの話題が出ましたので、コンカーより生成AIを用いた新サービスのお知らせをいたしました。
今年秋に、データから類推して不正予兆をあぶり出すAIサービスのローンチを予定していることを共有しました。承認をフルで自動化することを目指す取り組みの一環です。ロードマップを発表する予定で、これらのサービスは他の経費精算システムと一線を画すものであることを説明しました。
 

5. スケール化により享受できた効果について

(西日本鉄道様)
国際物流部門(関東・関西圏)の業務交通費の精算が非常に楽になりました。交通費の精算件数が、月に1人100件を超える従業員もおり、SAP Concur導入前は、旧システムに手入力して精算作業をしていました。SAP ConcurはICカードの履歴を一気に連携できるので、従業員からは大変好評です。

(九州旅客鉄道様)
SAP Concur導入前は書類保管の段ボールがどんどん積みあがっていく状態でしたが、ガラッと変わりました。今は上長と経理の2段階承認なので、経理側の負担を軽くするためにBIレポートをどう活用するかが課題です。

(東急様)
ありがたいことに、「SAP Concur導入で10万時間の負担削減」といったニュースが一時期話題になりました。この取り組みの背景にあるのは、「経費精算は月に3,000件近くある中で、1件1件をチェックしようとするスタンス自体が間違っている」という考え方です。間違いをチェックするのではなく、不正の機会を見える化して、自浄作用を生み出して機会を潰すことが効率化という観点にシフトチェンジするべきだと思います。
 

【意見交換 第2部】SAP Concur以外の領域について

【意見交換 第2部】SAP Concur以外の領域について

 

第2部では、2つのテーブルに分かれて、SAP Concur以外の領域について活発な意見交換が行われました。テーマは「会計業務全般の効率化に向けた取り組み」「国交省関連書類作成業務の効率化」「自社区間の移動交通費の運用について」「法人カードの利活用」「鉄道会計規則への対応」「その他」の6つを事務局で設定させていただきました。

さいごに

今回の鉄道業界交流会も大盛況のうちに終えることができました。バックオフィス業務の効率化という分野は、同じ業界内でも競争優位性や独自性をもたせる必要がありません。だからこそ同業他社と、良い点は共有・循環し、さらなる高度化と利活用に向け、継続的に関係を深化させていくことができます。今回のご意見交換の中で「この話を社内の人にも聞いてもらいたい」という声も多くあがり、有意義な時間となりました。

この度ご参加いただいた各社の皆様、ありがとうございました。また、今回はご参加いただけなかったお客様も、今後も同様の会を開催したいと考えておりますので、ぜひご参加いただければと思います。
 
コンカーは、皆様と業界コミュニティの輪を拡大させ、益々進化していきます。

鉄道業界情報交換会infukuoka


 

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