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ワコールホールディングス様ご登壇「Concur Invoice 西日本カスタマーディスカッション」イベントレポート
2024年9月27日、弊社大阪オフィスにてConcur Invoiceの更なる活用を目的とした「西日本カスタマーディスカッション」を開催いたしました。当日は、Concur Invoiceをご活用いただいている、株式会社ワコールホールディングス様に導入までの課題や目的、ご活用の状況について詳しくご紹介いただきました。お集まりいただいた9社15名のお客様からは活発に質問も飛び出し、ご出席の企業様同士での交流も生まれるなど、大変盛況となりました。
本レポートでは、株式会社ワコールホールディングス様事例講演の内容と、その後のパネルディスカッションをご紹介いたします!
Concur Invoiceについて詳しくはこちらをご覧ください。
Concur Invoice導入の背景
株式会社ワコールホールディングス(以下、ワコール)様は、国内14社、海外36社のグループ会社を持つ大手企業で、1949年の創業以来、主に下着やスポーツウェアなどの製造・販売を行っています。
同社の経理部門では、主に国内の経費管理・請求書管理を行なっています。それぞれ毎月2,000件〜3,000件もの伝票処理が紙ベースで行われ、チェックも人手に頼ったものとなっていることで業務が煩雑化し、非効率な運用が長らく続いていました。特に、ビルごとに異なる経費精算業務の運用が存在し、それに伴う労力や時間が問題視されていました。さらには電子帳簿保存法への対応も求められており、請求書処理や経費精算の効率化は働き方改革やガバナンス強化の観点からも喫緊の課題となっていました。こうした背景のもと、これらの課題を解決し業務効率化を図るために、経費精算システムの改変プロジェクトを立ち上げて2019年に「Concur Expense(経費精算クラウド)」を導入。続いて2021年には「Concur Invoice(請求書支払い管理クラウド)」の導入を決定しました。
Concur Invoice導入の目的
Concur Invoiceを導入した主な目的として、当日講演したワコール経理部の福田氏は「経理業務の効率化と集約化、そして電子帳簿保存法への対応」を上げています。また、働き方改革の一環として、場所や時間に制約されない業務遂行が求められており、これを実現するために入力作業の省力化や経費精算業務のシステム化が不可欠。「経費精算はコア業務ではなく、時間をかけるべきではない」と考え、システムによる自動化や標準化を目指しました。
加えて、経理部門の会計業務におけるガバナンスの強化や、経費精算における集約化も目指されていました。国内のグループ会社の業務を集約し、統一的な運用を実現することが経理部門の重要な目標であり、そのために適切なシステム選定が行われました。
経済性・実在性・正確性の考え方
ワコールでは、経理業務において「経済性」「実在性」「正確性」という三つの観点が特に重視されています。
- 経済性: 費用が本当に必要かどうか、またその手段が最も適切かどうかを検証する観点。
- 実在性: 実際に取引が存在したのか、架空の請求やカラ出張ではないかを確認すること。
- 正確性: 実際に発生した取引を正確に会計処理につなげ、支払いも適切に行うこと。
福田氏は、「経済性が最も重要なチェックポイントであり、これは人間が頭を使って判断すべき部分です」と強調しています。実在性や正確性については、システムが大いに役立つと述べており、SAP Concurなどのシステムを活用することで、これらの業務をより効率的に処理できると説明しました。
Concur Invoice選定の理由
ワコールがConcur Invoiceを選んだ最大の理由は、既に導入していたConcur Expenseとの親和性が高いことでした。福田氏も、「同じ経費精算という枠組みの中での統一感が、ユーザーにとっても使いやすい点でした」と言います。
また、経理部門としては、経費精算の統一性が確保されることで、監査やレポーティング、内部統制の強化にも役立つ点が評価されました。さらに、IT部門との連携がスムーズに進んだことも導入の決め手となりました。Concur Expense導入時に構築された会計システムとの連携プログラムが既に存在しており、同様の手法でConcur Invoiceもスムーズに連携できたためです。
システム管理者の権限や思想の一元管理が可能であることや、過去のプロジェクト経験が活かせる点も、信頼性の高い理由として挙げられました。
連携ツール活用による業務効率化とガバナンス強化の実現
導入にあたり、ワコールはBtoBプラットフォーム請求書(インフォマート社)とRemota Express(ファーストアカウンティング社)を活用しました。BtoBプラットフォームでは、電子請求書のやり取りを行い、請求書の受け取りを電子化することを実現しました。これにより、紙の請求書に頼らず、デジタル形式での処理が可能となりました。さらに、Remota ExpressによるAI-OCR(光学文字認識)を導入し、請求書の内容を自動的に読み取る仕組みも構築されました。Remotaは、従来のテンプレートに基づくシステムに比べて柔軟性が高く、多様な請求書フォーマットにも対応できる点が評価されています。
請求書のデータが自動的にシステムに連携されることで、手動入力の手間が省かれ、ミスも減少しました。Concur Invoiceは、紙ベースの処理から電子化されたプロセスへ移行する際に、非常に有効なツールとして機能しています。
BIツールの活用による経費データ分析と監査対応
ワコールでは、BIツール(ビジネスインテリジェンス・分析ツール)を活用し、経費精算のデータを分析・レポート化しています。精算の事後チェックに使うだけでなく、内部監査や外部監査に対しても、必要なデータをBIツールを活用して提供することが可能となりました。そのほか、精算処理の漏れがないかなどの活用や、海外出張者の申請状況を可視化することで、誰がどこにいるというようなことを把握し、危機管理の面でも役立てていると説明されました。
ただ、福田氏は「まだまだ活用しきれているとは言えない」と言います。レポートを出すことに満足するのではなく、このレポートをどう活用していくのか、何を見ていくのかというところにより注力していきたいとお話しされました。
導入の効果
Concur Invoiceの導入によって、ワコールは大幅な業務効率化を実現しました。特に、人員の削減が大きな成果として挙げられます。従来、経費精算業務はビルごとに分散して行われていましたが、「最終的には、業務を本社に集約し、効率化と人員の削減を実現しました」とお話しされました。導入後は本社に業務が集約されたことで、担当者の数は合計33人から14人と、半数以下に削減されました。この14人の中には、経費精算以外の会計処理や支払い処理を担当するスタッフも含まれています。また、電子化によって紙の使用が減少し、持続可能な環境に対する貢献も評価されています。福田氏は、次のように総括しています。
「Concur Invoiceを導入することで、業務効率は大幅に改善されましたが、今後さらに電子請求書の受け取りやOCR技術の活用を進めることで、手作業を減らし、ミスをなくすことを目指しています」
今後も、経費精算や請求書処理のさらなる効率化を進め、デジタル化の波に乗る形で業務改革を推進していく方針です。
事例講演まとめ:経費精算サービスの選択は「勝ち馬に乗る」
最後に、福田氏からいくつかSAP Concurを選ぶメリットが語られました。
「一つは、経費精算のない世界という明確なビジョンに基づいた提案をしていただけること。経費精算の効率化と引き換えに内部統制をおざなりにしていくのではない、きちんとした提案をもらえることは間違いなくメリットの一つです。また、BtoBプラットフォーム請求書やRemotaをはじめとする、周辺システムとの連携という点も、トップベンダーであるコンカーのメリットです。」
継続した提案、分析ツールの活用ができる点もメリットとして語られました。今後も社内の状況や税制改正に合わせ、継続して運用を見直しながら活用していくということです。
最後に「社内の統一見解として、経費精算に関するサービスの選択というのは、勝ち馬に乗るのがいいだろうというのがあります。色々なベンダーさんがいらっしゃいますが、安心感がポイントなのではないかと。本当に提供されている機能がきちんとワークするのか、利用者がすごく使いにくいんじゃないかとか。そういった不安を持つこともあると思いますが、SAP Concurにおいては豊富な経験と実績が、選択する方としても大きな安心感としてあります」
と語り、講演を締め括られました。
パネルディスカッション
事例講演のあとは、ワコールと出席企業とのパネルディスカッション。QA方式で進められました。大変盛り上がりましたので、いくつかの質問を抜粋してご紹介します。
質問① BtoBプラットフォームとRemotaの使い分けはどのようにされていますか?
これに対し、ワコールからは「支払先ごとに使い分けし効率化を進めている。BtoBプラットフォーム請求書はデータ連携ができる点で効率が上がるが事前に支払先との交渉が必要であり、受け取る社員の管理が必要になる。一方でRemotaも請求書のスキャンは必要になるがAIの精度向上など運用の工夫により効率化を図れている」という回答がありました。電子や紙などの請求書様式は支払先ごとに異なりますが、それぞれに合わせた手法により請求書業務全体の効率化が図れているということでした。
質問②電話代などの仕入れに関係しない請求書もConcur Invoiceで処理しているのでしょうか?
公共料金などは口座自動引き落としを利用している場合が多く、会計・基幹システムで仕訳を起票しています。その手続きをしていない場合は、Concur Invoiceで請求書処理をしている、とご回答いただきました。
質問③ 会計部門の集約をして、33名いた経理の方を14名にまで減らしたということですが、何か反発、逆に賛成の声などはなかったのでしょうか。
もともと、各拠点でやっていたこともありローカルルールがあって、場合によって柔軟に対応していたという状況だったそうです。集約することに対する不安はあったものの、統一した運用ルールを策定して周知することで対応し、従来のサポートに近い形での運用を工夫していったとお話しいただきました。また人員は、経理部の一部スタッフは経理以外の管理業務(販売部門や商品部門など)に異動してもらうなど、新たな活躍の場を得ているそうです。
イベント後の満足度は100%!
事例講演・パネルディスカッションに続き、グループを2つに分けてグループディスカッションを行った後、懇親会を開催して閉幕した本イベント。イベント後のアンケートで全体の満足度について伺ったところ、満足している(大変満足+やや満足)というお声が100%となりました。
いくつかいただいた声をご紹介します。
- 「クラウドベンダーというだけにとどまらず、日本企業の業務効率化に向けて業界に働きかけをされていることを非常に頼もしく思います」
- 「引き続きこのような共有の場をいただきたいです」
- 「今後も他社さんの意見を聞けたらありがたいです」
- 「さまざまなアップデートに一緒についていきたいと感じました」
- 「インボイス制度緩和の交渉、勝ち取ってください」
引き続きこのようなイベントを通じて、弊社の新しい取り組みをご紹介したり、お客様同士のネットワーキング構築などにも寄与できればと考えております。
ご関心お持ちいただけましたら、ぜひ弊社営業担当までお声がけください!
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